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番外編ですよ。

8: 賢弟の朝ごはん。

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メリメリ……じゃくり。ざく。ザクッ…サクッ……。

トーストを千切って齧る音、齧り付く音が耳に心地好い。

紅茶、コーヒー、温めたミルク、ベリージュース。ふわふわパンケーキに艶々ホカホカブリオッシュ、デニッシュ、ベーコン、目玉焼き、茹で卵、ポーチドエッグ、野菜サラダに野菜と果物のサラダ、チーズ、クリームチーズ。

ムンストーン家の朝食は、この国で一番豪華で贅沢なんじゃないかな??

ついつい、サラダと肉とパンとミルクティーという毎日固定されたメニューを淡々と食べるトライアイアン家と比べてそんなことを思ってしまう。

ダメだな、トライアイアン家は徹底的に効率とか合理性を求めてて、ムンストーン家は朝食に心の栄養とか活力も求めてるだけなのに。
どっちも方向性が違うから、比べる事自体ナンセンスなのに、つい、色々比べてはムンストーンの心地好さに喉をゴロゴロ言わせてしまう。

まあきっと、それだけ僕は"ムンストーンの要らない子"じゃなかった事が嬉しいんだ。

しみじみそんなことを考えて、焼き立てパンの小麦の良い香りを思いっきり吸い込んで紅茶を飲んでいると、窓をすり抜けて紫の光る小鳥が僕の肩に止まった。

「おや?これは…魔法の鳥かい??」

トーストを齧ろうとしていた父様が、ビックリした顔で聞いてくるので、僕は嬉しくなって胸を張って答えた。

「伝言魔法です♪僕が作ったんですが、遠距離でも直ぐに連絡できるのでとても便利なんですよ♪」

王家や貴族の影や隠密なんかには、それぞれ独自の伝達魔法があるみたいだけど、基本的にそれらは秘匿されていて、一般の貴族達に伝わる事はない。

でも、直ぐに連絡したい時って割とあって……。だから僕が作ったんだ♪

今じゃ、バイカル、従兄弟のテリー、その他バイカルの側近候補連の無くてはならない必須魔法だ。

なんて、思わず語れば、

「おおー!ロスターのとこのテリーとラインハルトは幼いのに、バイカラー王子殿下の側近候補なのか!凄いなぁ!!しかも、ラインハルトはトライアイアン家で魔法の勉強も頑張ってるんだなぁ。偉い!素晴らしい!」

がっはがっはと笑いながら誉めてくれる父様がとても嬉しくて、僕は有頂天でハニートーストを齧った。

「僕の伝言魔法はとっても簡単な術式にしてあるんです♪もし良ければ父様達にもお教えしますよ♪」

なんて嬉しさの余り言えば、父様も母様もアーサーも凄い凄いと感心してたけど、キャロ姉様だけ目が泳いでブレスレットを弄っていた。

何か用事でも思い出したのかな?



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