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番外編ですよ。
6: 賢弟は二度食べる。
しおりを挟むそこからは何だか、頭の中の霧が晴れたみたいな気分だった。
此処はトライアイアンじゃない。トライアイアンの尺度でムンストーンを見てはいけない。と言う事がどういう事なのかが、するりと理解できた。
ムンストーンのムンストーンらしさは根っこに宿っている。その存在をいつの間にか忘れていたけど、ちゃんと僕の根っこに宿っている。
僕は、気の赴くままにケーキをお代わりした。
よく考えたら、ケーキやお菓子をどのくらい食べるのが令息らしいとか、非常にみみっちい思考だと思う。
食べたかったら食べたら良いんだ。美味しいものは誰だって沢山食べたい。大体、食べる為に作ってるんだから。
満足するまでお菓子とスパイスティーを堪能した後は、庭を散策しながら少し皆で会話を楽しんだ。冬の寒い庭も、中々風情があって良かった。
キンキンに冷えきった体を、赤々と燃える暖炉の前で寛ぎながら暖め、ボードゲームやお喋りで時間を潰した後、夕食を頂く。
クリスマス期間だと言うこともあり、一際華やかに彩られた食卓は、バタークリームたっぷりのカップケーキを存分に食べたはずの胃袋を空にし、僕は自分でも驚く程の量の肉や野菜やパンや果物を腹に納めた。
「美味しいです!とっても美味しい!」
会話なんて上の空で食事に夢中になり、子供っぽく口の端にソースを着けて喋ってしまっても、誰も眉をひそめなかったし、寧ろ沢山食べなさいと僕の好物を率先して取り分けてくれる。
「沢山食べなさい。アーサーだって、毎日美味しい美味しいとご飯を好きなだけ食べたから、あんなにニョキニョキ背が伸びたんだよ。さ、此処も食べてごらん?父様はこの部位が一番好きなんだ。ホロホロの肉と、とろとろのゼリーみたいなのがあって美味しいよ。」
「パパ!そこの煮詰まった辺りのソースをたっぷりかけてあげて!」
「ラインハルト、これも如何?」「ラインハルト!こっちのミートローフもまだ食べれるだろう??」
薦められるまま散々詰め込んで、満腹だと思ったのに、デザートのシャーベットとコーヒーとマカロンが何故かするりと胃に吸い込まれていって…。
今日の僕の胃はどうなってるんだろう、なんて思いながらも入浴し、少し何か読書なり勉強なりしてから寝ようかと思っていたら、
ドアをばぁん!と開けて
兄姉が犬のように飛び込んできた。
「ラインハルト!寝る前にお茶しよう!!ドーナツ食べよう!!」
二人が見せる、カラフルカップケーキと苺もちもちドーナツが並んだ皿に、僕はニッコリ頷いた。
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