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番外編ですよ。

4: 富豪の祖母的地味令嬢とピザパと翌朝の筋肉痛。

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「ねえねえ、グラニー!これね、俺んちが良く頼んでた近所のピザなんだ!どうどう??」

「じっちー?ねぇ、じっちー……マドモアゼルにこの晩餐は……」

「ムーンパイ、美味しいけどボリュームミィ過ぎる。じゃぱーにーずにはこんな分厚い生地にこんなにチーズを載せたお化けみたいなピザは無かったよ…!」

「グラニーってば、本当にグラニーみたいな事言うよね!ねぇ、コークが飲みたいんだけど、中々難しいんだ…。グラニーの魔法でコーク作れない??」

「ねぇ、じっちー……?」

「ムーンパイ。……グラニー多分、ゼロカロリーコークなら作れるよ?」

「ゲェ~~!!ゼロカロリーとか、人の飲むものじゃ無いよ、グラニー!全く、趣味悪いんだから!」

「あら、ムーンパイ。時にはグラニースタイルだとかダッドシューズだとか、その悪趣味が最先端になることもあるのよ?」

もうすっかりなりきりおばあちゃんである。
食べてるものは分厚いピザ、揚げ芋、ナゲット、チキン、飲み物はマンスターとレッドプールという…ちょっとジャンクなおばあちゃんだが。

ムーンパイはそんなやり取りにすっかり八歳児に戻り、孫のレンツォ君は訳が判らず目を白黒させていた。

孫のレンツォ君は、幼い頃親が忙しくてムーンパイに育てられた様なものだったらしい。そして、ムーンパイのアメリカでの暮らしやお話を寝物語に聞いていたので、私が転生者だと知っても大丈夫との事だった。
只、「実は前世で私達は恋人同士だったの!」とか道端でいきなり知らない人に言われた人みたいな顔をしているので、天才発明家は妄想も凄い!しかも同類現れた!!みたいに思ってる気もする。

「只、転生者が現れた場合、神殿がちょっかいをかけたり囲い込もうとするかもしれない。昔、他に転生者の記録が無いか探してたら、神殿から見張られたり、変な模様を見せられたりしたんだよ。
グラニーは大貴族のお嬢さんみたいだから大丈夫だとは思うけど…。」

そういって見せられた再現模様は、多分だけど、漢字と平仮名じゃないかと思わせるような形状だった。
日本人の転生者が過去に居たのだろうか……。そもそも、日本のエロゲーだものな…。

「ありがとう。気を付けるね…。ムーンパイこそ、無事で良かった……。」

大々的に転生者の伝説とかがあるわけじゃない。ということは、囲い込まれた後は余り良い展開とは思えない。私も気を付けよう。

その後は、今度ムーンパイとスニックルスを作ってきてあげると約束し、可愛いムーンパイと別れた。

ムーンパイはミルキーロード派だったらしく、とことんずれてるな、なんて思いながら。


「おかえり、フェロー。」

「あら、もう帰ってらしたんですね、アレックス様。お疲れ様です。」

空き教室に帰ると、もうアレックスが居てたので、何だか嬉しくなる。
普通の生活が一転、知らない所に放り出されたようなムーンパイの経験を聞いたからだろうか。
今という時間が、何にも替えがたい大切なものに感じる。

「フェロー…今日はど「そうそう、アレックス様!聞いてくださいよ~♪今日ね……ん?何です??」

うっかり興奮のままに喋りだしたらアレックスの言葉を遮ってしまった。慌てて聞けば、お先どうぞ、と言われる。……なら、遠慮無く♪

「今日ね、レッドプールを創った、世界的富豪のアパタイト卿に会ってきたんですよー♪色々意気投合しちゃって、気付いたらおばあちゃんと孫みたいな関係になっちゃいました♪♪
アレックス様、もし隣国行く機会あったら教えてくださいね♪ピザチェーンの只券とか、アパタイトグループの只券いっっぱい貰ったんで♡」

なんて、機嫌良く捲し立てれば、呆気に取られたような顔でアレックスが呟く。

「お、おばあちゃんと孫?……フェローがおばあちゃんなのか?」

まぁ、そう思うよね。

「そうなんですよー。彼の過酷な半生を聞いて、辛かったね、頑張ったね、って言ってたら、おばあちゃんを思い出されたみたいで。あ、ピザ食べます??沢山貰ったんですよ♪」

「………まぁ、すぐに何かくれる所はおばあちゃんぽいよな。」

笑って言って、ふと、思い出してピザを薦めればそんな事を言われてしまった。ひどーい!

「えぇ!?ちょっとー!ひどいですよー!大体、すぐに何かくれるのはアレックス様の方でしょ!?」

「いやいや……フェローもなかなかに……」

その後暫く、どっちが年寄り臭いか、というふざけた水掛け論を繰り広げ、お互い年寄りではないと証明しよう!みたいな強引な論法で風呂&ベッドに縺れ込んだ。

翌日、暫く年寄りみたいな歩き方しか出来なくなった私は、老若男女に受け入れられるデザイン性のある回復湿布を頭の中の開発リストに書き加えたのだった。




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