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番外編ですよ。
VD ヤンキーゴーホーム!
しおりを挟むサクサクと芝生を踏み締める音が耳に心地好い。
休憩スペースから充分離れたので俺はデクスターに釘を刺す。
「お前もだぞ、デクスター。次、喧嘩売ってきたらぶっ飛ばすぞ」
それを聞いたデクスターは、ニヤニヤしながら『趣・味・悪~♪』と口をパクパクさせた。
俺がわざとらしく拳をブルブル震わせて怒りで噛みつく真似をすれば、楽しそうにデクスターが笑った。
「フフフ、冗談ですよ!これでもムンストーンご令嬢には感謝してるんです。勿論、貴方にも。」
俺はその言葉に全くだ、と大きく頷いた。
フェローは一体何度サンストーン令嬢を助けてるか…。恩人の中の恩人だぞ。
「ですが、ムンストーン令嬢は可愛いですね♡って言われても困るでしょう?」
「………確かに。嬉しいが困るな。フェローの可愛らしさを大声で自慢して判ってない奴に判らせて回りたい欲求と、誰にも教えたくない欲求が常にと戦っている。」
俺の言葉にデクスターも深く頷く。
「私もです。だからこそ、レックス殿みたいに安心して話せる方は有り難いですね♪
きっと、パライヴァ殿下達もそうなのでしょう。
パライヴァ殿下のカメリアに対する振る舞いは、カメリアが手に入ったとて許せませんが…何があってもあの恐ろしいクッキーを尊ぶ心意気は好感が持てましたよ…。」
デクスターの言葉に思わず吹き出してしまった。
デクスターも可笑しそうに笑う。
あの音はヤバかったよな、だとか、口の中が心配になりました、だとか暫く盛り上がりながら俺達は校門近くまで共に歩いた。
「今日は素敵な催しにお誘い頂き有り難う御座いました。お陰様で大変楽しめました。……では、近い内にまた…。」
そう言って馬車に向かうデクスターを見送り、俺はフェローの待つ空き教室へと急いだ。
早くフェローに逢いたい。
だが、急いで空き教室に向かっていると、空き教室の向かい、渡り廊下前の遊歩道迄来た辺りで俺は異変を目にすることになった。
「木が……。」
近くに植わっている並木が数本、異常な揺れ方をしているのだ。
ゆさゆさ、ゆさゆさゆさゆさ、ユサササササ………。
慌ててその辺りに認識阻害や認識誤認をかけ、異常を目立たなくさせる。
ふと足元を見れば、雑草までぴこぴこぴここここ……と揺れていた。
「まぁ、滅多に人は来ないから、このくらいで大丈夫だろう。」
魔法のかかり具合を確認し、俺は先程までより更に急いで空き教室を目指した。
「全く、俺のお姫様は目を離すとすぐこれだ!」
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