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番外編ですよ。
VD マウントヤンキーのマウント整理と無意識マウント。
しおりを挟む「…………取り敢えずエメラルダス、レシピが知りたいならムンストーン令嬢からレシピを教えて貰えないか、彼女に聞いといて貰うよ。」
あたかもフェローとムンストーン令嬢は別人かのように言い、俺は紅茶を一口飲んだ。
「……ていうか、熱い夜ってなんだよ。バレンタインは何かそういうジンクスか何かあるのか??ロンドミオ。
俺は手作り菓子の素晴らしさとやらをウンザリするほど聞かされて、惚気かと思って聞いててやったら、喧嘩売ってきたから買ったまでだ。
その結果、何だか令嬢達皆菓子を手作りするわ、令息達は婚約者以外の手作りもついでに味わえたりで嬉しい悲鳴をあげてるわで、男爵令嬢の堅いクッキーだけを抱えてるお前らザマァってしにデクスターと来たのが今だ。」
ここまでは良いか?と言葉を切って見回せば、デクスターがコクコクと頷いてカップケーキを少し齧る。
俺は再びロンドミオを見据えて口を開いた。
「夜については喧嘩も売られてなかったし、向こうも最近は手作り茶会に引っ張りだこで疲れてたから、キスしかしてない。
まぁ、喧嘩を売られたから致すってのも違う気もするが……、何か言われてたらもう少し特別なディナーと夜にしたのに。
ちょっとそれは卑怯だぞ、ロンドミオ。
寧ろ俺達はこの数日、珍しく殆んど体を重ねずに過ごしたくらいだ。
寝椅子やベッドで菓子を互いに食べさせあってイチャついたり、一緒に菓子を作って笑い合ったり……。ん、考えたら…クッキーをオーブンで焼いてる隙にちょっとシた以来か…。」
気付かなかったが随分と御無沙汰だったんだな……。
なんて考えながらケーキを一口食べれば、ぽそりと呟いたエメラルダスの声が静かに響く。
「……珍しく……。」
その呟きに視線を上げれば、向かいでデクスターがきゅぅ~っと赤面するのが見えた。深紅のバタークリームに負けない位赤く、耳も首も真っ赤だ。
そうか、デクスターは俺の相手が誰か知ってるものな……下卑た話をしてしまった、と思って紅茶を飲んで誤魔化す。
それにしても、急に皆静かになったな。気不味い。
ロンドミオも、自分から振っておいて黙るなよな。
「あー……何だよ、もうアレクサンドロも恋人とそういう仲なのか…。」
じっとりした空気の中、ハハハ…と乾いた笑いと共にロードクロソートが言う。それに合わせてヒロイン信奉者達がヘラヘラ笑うのが何だか腹立たしくて、俺は口を開いた。
正直俺は、ロードクロソートの資産をガッツリむしり取ったが、それでもまだ、プラチナ区域での事は許せてないんだ。
「何だよまさか、俺が童貞だと思ってた訳じゃないだろう?高位貴族は大抵筆下ろしは娼館だ。
それとも恋人と致してるのに驚いたのか?今時婚前交渉も珍しくないし、お前達だって毎日毎晩あっちこっちでサカってるじゃないか。」
俺の言葉に皆ボソボソと、毎日できたらどんなに…だとか、一人当たりに割り振られた時間なんて……だとかボヤいてるが嘘吐くなよ、聞きたくないヒロインの嬌声で何度邪魔されたか。
そもそも、初めてだって、邪魔されたせいで2ヶ月も延びたんだからな…。
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