317 / 354
番外編ですよ。
VD 地味令嬢と令嬢達の、レッツ☆リメイク!
しおりを挟む談話室にキャッキャウフフと令嬢達の楽しそうな声が溢れる。
「ムンストーン様、こんな感じですか?」
「うん、それくらいで。余り細かくしすぎると粉になってしまうからね…。」
嬉しそうに砕いたクッキーを見せてくれる子爵令嬢に首肯して、私は天板にオーブン紙を敷いていった。べたーっと広げて、四隅を折り、天板一杯の浅いケーキ型にする。
そこに、ブラウニーチックにパウンドケーキにチョコとカカオを足した生地を流し込み、ドライフルーツやナッツ、砕いたチョコを適当に突っ込んでいく。この辺りはフルーツ入り、この辺りはフルーツとナッツ、この辺りは……と、云うように。
令嬢達が楽しそうに役割分担し、キャイキャイと他の天板の作業を進めていく。
そして、先程砕いた大量のヒロインクッキーを、溶かしバターに砂糖を混ぜた幸せの液体に浸しておいたのだが、ここでこれを、ブラウニーの上にぎちぎちに敷き詰めていく。
「よーし、これでOK♪後はお願い出来るかな?中火でねー♪」
「「「おまかせくださぁい♪」」」
私の言葉に、ここから部屋が近い令嬢達が楽しそうに返事をしてくれた。
天板を持って何人かの令嬢が部屋に戻る。一緒に焼くのを見に行く令嬢、談話室で待つ令嬢、皆テスト勉強や趣味の手を少し止めて休憩である。
私はソファにぼすっと腰掛けてうーーんと伸びた。
空き教室でぐっすり眠ってた私を起こさないようにアレックスは何処かに出掛けたみたいだけど、何処行ったのかな??
彼の気遣いも虚しく、バレリーの通信に叩き起こされてしまったから眠い……。
「焼けるまで少しだけ寝るわ…。」
私の言葉にバレリーが本から目を離さずにこくりと頷いた。
ふぁぁ……それにしても、あんなにいつも色々してて、朝早くに起きれるんだから、アレックス元気すぎるよね……。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
ふと、甘い香りに意識が浮上する。
もそりと起き上がれば、談話室で待ってる令嬢達がソワソワしてるのが目に入った。まぁ、この匂いはそうなるよね…。
きゅるるるる………くぅーん♡
と、丁度静寂が訪れたタイミングでバレリーの腹の虫が超絶きゃわわな感じで響き渡る。
「何かお腹で子犬飼ってる?」
「五月蝿いなぁ!知らんぷりする優しさはないのん?!」
余りの可愛い音に笑えば、真っ赤になったバレリーに怒られてしまった。でも、あんな子犬みたいな腹の虫を聞いたら無理だよ。
他の令嬢達もふるふる肩を震わせている。
「焼けたみたいですー♪」「こっちも出来ましたー!」
バレリーを怒らせてから暫くして、オーブンで焼いてくれてた令嬢達が続々と焼き立てを持って談話室に帰ってきた。
後はもう、一口サイズにカットして完成である♪
「よし!なんちゃってクランブル付きチョコブラウニーの出来上がりだ♪」
私の宣言に、令嬢達の嬉しそうな声と小さな拍手があちこちから上がる。
いつの間にか気の効く令嬢達がお茶を準備してくれており、皆でテーブルを整え、三段のケーキスタンドにブラウニーを並べ、花を飾り、あっという間に談話室はティータイムに突入した。
2
お気に入りに追加
2,299
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。



【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる