312 / 354
番外編ですよ。
明けまして 地味令嬢とヤンキーと大晦日。
しおりを挟むスレートを漆喰で積んだ壁に、太い木の梁が見える天井、赤々と燃える暖炉に、木の床には沢山の毛皮の敷物。ベッドやカウチ等にもムートンが沢山。
壁には立派な剥製の頭部が突き出ている。
此処はタイガァイの中心地オンシェーンで2番目に良い宿の1番良い部屋。
クリスマスに別荘を贈りあった後、私達はとてもゆったりとした時間を過ごしていた。
アレックスが淹れてくれたエスプレッソを飲んで、先程ルームサービスを頼んだタルトタタンを頬張る。
今日は大晦日。
サクッポロポロと唇の端で崩れるタルト地を恥じらいながら、手で受け止める私の柔らかな腹にアレックスの逞しい腕が絡む。
朝食の後、少し雪遊びをして、悴む指先をキスで温めながらその先を求めあい、白い異世界特有の色味の木の幹に押し付けられたりしながら事に及んだ後、余りの寒さにベッドに雪崩れ込み、軽い?運動で体を温めあって少し眠って起きて今に至る。
昼食を食べ損ねたので、少々卑猥な手付きでアレックスが腰骨の辺りを撫でてもタルトを食べる手は止められません。
そうです。全裸です。
全裸でベッドでタルトを食べてます。
そして、これを食べ終わったらアレックスに言わなきゃいけない事があるから、流されないようにしよう。
そう思うんだけど、アレックスの少し冷えた指先が段々際どい所をなぞってきて……。ぁぁぁ、流されそう…。
「フェロー……?お腹は膨れた…?」
するするとアレックスの腕が体を這い、うなじに柔らかいキスが何度も降る。
甘い。
その甘い雰囲気に流されそうだけど、これだけは伝えないと……。
「アレックス……私の我が儘、きいてくれます?」
私の肌に唇を沿わせて胸から首、顎へと上がってきたアレックスが、私の唇を塞ぐ寸前で止まる。
「フェロー……なぁに?」
唇と唇を掠らせながらアレックスが低い甘い声で聞き返す。
「私、昔、遠い異国で元旦にエッチしたら老けると謂われてると本で知ってしまって……。元旦にはエッチしたくないんです…。」
「え。」
アレックスが固まる。
ごめんね。でも、大好きな漫画で知って以来、それだけは前世から気を付けてて…。
「だから、…元旦だけは…エッチしたくないです……。」
上目遣いが難しい距離ではあるけど、出来るだけ可愛ーくお願いしてみる。
「………それは、31日23時59分59秒迄はしていて良いって事だろうか…。」
え?……まぁ、そうだよな。
アレックスの発想に少し驚くも、頷く。
「そうです。」
「2日0時0分0秒からしても良いのか?」
「そうです。」
「エッチの定義は……挿入か?」
うーーん。
でも、お口で、とかもほぼエッチじゃない?オーラルセックスって言う位だし。
「……陰部に触れるのは最早セックスだと思います。どちらのも……。」
「つまり、キスや陰部以外を触るのは良いんだな?」
「はい、キスや陰部以外を触るのは良いです!」
「よし、判った。なら、今のうちにたっぷりしようか。」
そういってアレックスは私の唇を塞ぎ、私は本日何度目かの開戦に、ぶるりと一つ身震いしてから応えた。
2
お気に入りに追加
2,299
あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる