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番外編ですよ。

明けまして 地味令嬢とヤンキーと大晦日。

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スレートを漆喰で積んだ壁に、太い木の梁が見える天井、赤々と燃える暖炉に、木の床には沢山の毛皮の敷物。ベッドやカウチ等にもムートンが沢山。
壁には立派な剥製の頭部が突き出ている。

此処はタイガァイの中心地オンシェーンで2番目に良い宿の1番良い部屋。

クリスマスに別荘を贈りあった後、私達はとてもゆったりとした時間を過ごしていた。

アレックスが淹れてくれたエスプレッソを飲んで、先程ルームサービスを頼んだタルトタタンを頬張る。

今日は大晦日。
サクッポロポロと唇の端で崩れるタルト地を恥じらいながら、手で受け止める私の柔らかな腹にアレックスの逞しい腕が絡む。

朝食の後、少し雪遊びをして、悴む指先をキスで温めながらその先を求めあい、白い異世界特有の色味の木の幹に押し付けられたりしながら事に及んだ後、余りの寒さにベッドに雪崩れ込み、軽い?運動で体を温めあって少し眠って起きて今に至る。

昼食を食べ損ねたので、少々卑猥な手付きでアレックスが腰骨の辺りを撫でてもタルトを食べる手は止められません。

そうです。全裸です。
全裸でベッドでタルトを食べてます。

そして、これを食べ終わったらアレックスに言わなきゃいけない事があるから、流されないようにしよう。
そう思うんだけど、アレックスの少し冷えた指先が段々際どい所をなぞってきて……。ぁぁぁ、流されそう…。

「フェロー……?お腹は膨れた…?」

するするとアレックスの腕が体を這い、うなじに柔らかいキスが何度も降る。

甘い。
その甘い雰囲気に流されそうだけど、これだけは伝えないと……。

「アレックス……私の我が儘、きいてくれます?」

私の肌に唇を沿わせて胸から首、顎へと上がってきたアレックスが、私の唇を塞ぐ寸前で止まる。

「フェロー……なぁに?」

唇と唇を掠らせながらアレックスが低い甘い声で聞き返す。

「私、昔、遠い異国で元旦にエッチしたら老けると謂われてると本で知ってしまって……。元旦にはエッチしたくないんです…。」

「え。」

アレックスが固まる。

ごめんね。でも、大好きな漫画で知って以来、それだけは前世から気を付けてて…。

「だから、…元旦だけは…エッチしたくないです……。」

上目遣いが難しい距離ではあるけど、出来るだけ可愛ーくお願いしてみる。

「………それは、31日23時59分59秒迄はしていて良いって事だろうか…。」




え?……まぁ、そうだよな。

アレックスの発想に少し驚くも、頷く。

「そうです。」

「2日0時0分0秒からしても良いのか?」

「そうです。」

「エッチの定義は……挿入か?」

うーーん。

でも、お口で、とかもほぼエッチじゃない?オーラルセックスって言う位だし。

「……陰部に触れるのは最早セックスだと思います。どちらのも……。」

「つまり、キスや陰部以外を触るのは良いんだな?」

「はい、キスや陰部以外を触るのは良いです!」

「よし、判った。なら、今のうちにたっぷりしようか。」

そういってアレックスは私の唇を塞ぎ、私は本日何度目かの開戦に、ぶるりと一つ身震いしてから応えた。


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