本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why?

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時は来た!断罪の卒業記念パーティー!

311: 出歯亀王様は見た!聞いた!痛めた!

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「こ、今年は凄いな……!忙しい!うむむ……あっちもこっちも見逃せん!」

アメトリン王国の国王、シトロン・アメジスタ・アメトリンは今、とても忙しかった。
何故なら、毎年楽しみにしていた卒業記念パーティが、今年は前代未聞の手に汗握るスペクタクル恋愛劇だったからだ。

毎年、父兄が来ることもあって、この卒業記念パーティで婚約を申し込む令息、愛を囁く令息、恥じらう令嬢泣く令嬢、父に連れられて来た若き後継者達とデビュタントを控えた蕾の様な令嬢達との間に芽生える恋心、等々、このパーティは見所が多く、政略結婚ばかりだった王の心をときめかせてくれる心の糧だったのだ。

認識阻害やらを全て看破出来る魔道具と遠いところの隠された会話も綺麗に拾える魔道具をバッチリ付けて、高性能魔導式オペラグラスを握り締め、毎年毎年このパーティを楽しんでいたのだ。

それが、まずは息子の婚約解消劇で度肝を抜かれ、今度は、オブシディアンの所の三男アレクサンドロがあの、息子が変人扱いしてた少女とは思えないハッデハデ令嬢と共に颯爽と2階から飛び降りて参上し、婚約し、踊り出したと思ったら認識阻害かけまくって空中で踊り出すわ、キラキラピカピカさせるわ、果ては接吻!!王は思わずウヒョー!と叫ぶところだった。
いやまぁ、王が居る2階ボックス席は従甥のそれよりしっかり認識阻害諸々が掛かってるので、叫んだとて構わないのだが、矢張り、出歯亀をするなら声は抑えるのが美学と言うものである。

階下の恋模様を追いかけつつ、時々、此方もチェックするが、まだクスクスイチャイチャしながらチュッチュしておる。
さっきから踊りっぽくくるくるしていたのが横回転まで加わり、いつか上下を間違えて墜落するんじゃないかと王様は心配だよ…。

等と従甥を見守る様な感想を洩らしながら出歯亀する。
横で呆れた視線を突き刺してくる第1王子トルマリンと第3王子バイカラーに、時々実況してやりながら王はあちこちキョロキョロした。

第2王子パライヴァに婚約解消を突き付けられたカメリア令嬢が心配だったが、ホールの片隅で護衛騎士に愛を囁かれており、安堵と共に胸が高鳴った。
多分王妃の横槍を防ぐための既成事実としての婚約解消劇だったのだろうが、婚約解消を公衆の面前で突き付けられた令嬢と護衛騎士の身分違いの恋!!ああ、まるで物語の世界に迷い込んだようだ。

ああ、あの様な恋の末に交わす口付けはどんな味がするのだろうか…。

それにしても、男爵令息と子爵令嬢、と、身分は低いものの、オニキス男爵の息子のプロポーズも良かった!!

おや!?あそこの令嬢、気付いてないが3人程令息達が牽制し合っておるぞ!?

そうか、ムンストーンの令嬢が放ったこの幻影がロマンチックだから、皆この機会に愛を囁いたり良い雰囲気に持ち込みたくて例年よりガツガツしておるのだな??良いぞ!もっとやれ!!私も17歳位の中位貴族の令息になってあの中に混じりたい!いいなぁ、皆いいなぁ……。

それにしても、パライヴァも凄いよなぁ。あんだけの人数とシェアしてあちこちでやらかして、遊びかと思ったら婚約だもんなぁ。
王妃が滅茶苦茶怒るだろうが、今は忘れよう。今はこのパーティを楽しもう!

ああ、トルマリンとバイカラーも、あのオニキス男爵令息の様に婚約者と素敵な恋やら愛を育んでくれれば良いのだがな…。

「……父上。……さっきから全部、声が出ております……父上……。」

居心地悪そうに言うトルマリンの声も耳に入らない程王は出歯亀に没頭し、これにより首を痛め、この後数日程苦しむのだった。






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