288 / 354
時は来た!断罪の卒業記念パーティー!
300: 装う地味令嬢と予想外のお迎え。
しおりを挟む年末年始の休みが終わり、
馬車でゆるゆると王都に戻った私は、残り少ない授業を受け、テストを受け、あっという間に、卒業式の日を迎えた。
んー。何か今の言い方だと、私が卒業するみたいだ。いかん、どーも気負っちゃうな。
苦笑いをする私に、余り顔馴染みのないムンストーン家のメイドが訝しがる。多分、こいつ溝鼠の回し者かな。新顔だけど、髪もドレスも綺麗に整えてくれる。
普段はメイドや侍女なしで生活させられるこの学園だけど、卒業式や卒業記念パーティーがある今日だけは、侍女やメイドを呼んで装いの手伝いを頼むことが出来る。
まぁ、パーティーは父兄も参加するからかな。
今日、パライヴァ第2王子殿下と他の攻略対象が軒並み卒業を迎える。騎士団長子息と宰相子息はアレックスと同い年なので残るが。
そして、原作だと、パライヴァの婚約者であるフェリシア・ムンストーン伯爵令嬢が婚約破棄されて、その後あれよあれよと家が解体されて行くのだ。
現在、パライヴァの婚約者は私ではなく、カメリア・サンストーン伯爵令嬢だ。
ヒロイン・ローズクォーツ男爵令嬢とパライヴァは原作通り?……ちょっと原作よりアンアン言うの早い気もしたけど……まぁ、原作通り恋仲で。
こっからどうなるんだろうと思うと、胸がバクバクと大きな音を立てた。
ごきゅり、と喉を鳴らして、鏡の中の自分を見つめる。
色眼鏡にひっつめ髪の少女がこちらを見つめ返す。
まぁ、ひっつめといっても今日はお団子の位置を下の方にして、かっちりシニョンにしているんだけどね。黒い網状のレースがついた髪止めで、まとめた髪を覆って貰う。
「ごめんね。割と無理難題だったでしょ?」
鏡越しにそういえば、見慣れないメイドはニッコリ微笑んで、
「遣り甲斐がありました。多分、ご要望通りになると思います!
この目でその瞬間が見れないのが残念です。……お嬢様、ドキドキしますね♪」
向日葵みたいに笑うメイドに癒される。
そろそろ時間だ。今日も、あのチョッパヤエスコートで行くんだろうな。汗はクリンナップするから良いけど。
私は最後にもう一回自分の姿を鏡でチェックする。
白のぽったりした厚手の生地で作られた詰め襟長袖のドレス上部は肩がパフスリーブというよりは肩パッド!って感じのラインになっていて、モダンに見える。
このぽったりした生地がヒップトップまではタイトに覆い、
ヒップトップから下は膝丈タイトドレスのスカート部分を4つに裂いて下から黒の中に金と紫を隠したボリューミーなフリフリレーススカートがぼわっと溢れ出てるようなデザインになっている。
くるりと回って確認すれば、メイドがニコニコして拍手する。
今回、約束の時間は何時もより30分早く6時。
アレックスに6時に迎えに行くと言われ、エスコート相手の有無を聞いてくる両親には、アーレク・オニキス男爵子息にエスコートされると言えと指示されたのでその通りに手紙を書いた。
もうそろそろ時間だ。ちっさなポーチの中身を最終確認して息を吐く。
時計が6時を指すちょっと前。早歩きな足音を待っていた私の耳に、少し抑え気味のコツコツ、とゆったりした靴音が届く。
この音は……?と思っているとノックされ、対応したメイドがドアを開けて私に目線で促す。
「こんばんは、今日も夜会日和ですよ、フェリシア嬢。少し早いですが、お迎えに上がりました。」
そこには、蕩けるアメジストの視線を送ってくるアレックスが居た。
12
お気に入りに追加
2,298
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル
諏訪錦
青春
アルファポリスから書籍版が発売中です。皆様よろしくお願いいたします!
6月中旬予定で、『クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル』のタイトルで文庫化いたします。よろしくお願いいたします!
間久辺比佐志(まくべひさし)。自他共に認めるオタク。ひょんなことから不良たちに目をつけられた主人公は、オタクが高じて身に付いた絵のスキルを用いて、グラフィティライターとして不良界に関わりを持つようになる。
グラフィティとは、街中にスプレーインクなどで描かれた落書きのことを指し、不良文化の一つとしての認識が強いグラフィティに最初は戸惑いながらも、主人公はその魅力にとりつかれていく。
グラフィティを通じてアンダーグラウンドな世界に身を投じることになる主人公は、やがて夜の街の代名詞とまで言われる存在になっていく。主人公の身に、果たしてこの先なにが待ち構えているのだろうか。
書籍化に伴い設定をいくつか変更しております。
一例 チーム『スペクター』
↓
チーム『マサムネ』
※イラスト頂きました。夕凪様より。
http://15452.mitemin.net/i192768/
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる