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時は来た!断罪の卒業記念パーティー!

300: 装う地味令嬢と予想外のお迎え。

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年末年始の休みが終わり、

馬車でゆるゆると王都に戻った私は、残り少ない授業を受け、テストを受け、あっという間に、卒業式の日を迎えた。



んー。何か今の言い方だと、私が卒業するみたいだ。いかん、どーも気負っちゃうな。

苦笑いをする私に、余り顔馴染みのないムンストーン家のメイドが訝しがる。多分、こいつ溝鼠の回し者かな。新顔だけど、髪もドレスも綺麗に整えてくれる。

普段はメイドや侍女なしで生活させられるこの学園だけど、卒業式や卒業記念パーティーがある今日だけは、侍女やメイドを呼んで装いの手伝いを頼むことが出来る。

まぁ、パーティーは父兄も参加するからかな。

今日、パライヴァ第2王子殿下と他の攻略対象が軒並み卒業を迎える。騎士団長子息と宰相子息はアレックスと同い年なので残るが。

そして、原作だと、パライヴァの婚約者であるフェリシア・ムンストーン伯爵令嬢が婚約破棄されて、その後あれよあれよと家が解体されて行くのだ。


現在、パライヴァの婚約者は私ではなく、カメリア・サンストーン伯爵令嬢だ。

ヒロイン・ローズクォーツ男爵令嬢とパライヴァは原作通り?……ちょっと原作よりアンアン言うの早い気もしたけど……まぁ、原作通り恋仲で。


こっからどうなるんだろうと思うと、胸がバクバクと大きな音を立てた。
ごきゅり、と喉を鳴らして、鏡の中の自分を見つめる。

色眼鏡にひっつめ髪の少女がこちらを見つめ返す。

まぁ、ひっつめといっても今日はお団子の位置を下の方にして、かっちりシニョンにしているんだけどね。黒い網状のレースがついた髪止めで、まとめた髪を覆って貰う。

「ごめんね。割と無理難題だったでしょ?」

鏡越しにそういえば、見慣れないメイドはニッコリ微笑んで、

「遣り甲斐がありました。多分、ご要望通りになると思います!
この目でその瞬間が見れないのが残念です。……お嬢様、ドキドキしますね♪」

向日葵みたいに笑うメイドに癒される。

そろそろ時間だ。今日も、あのチョッパヤエスコートで行くんだろうな。汗はクリンナップするから良いけど。

私は最後にもう一回自分の姿を鏡でチェックする。

白のぽったりした厚手の生地で作られた詰め襟長袖のドレス上部は肩がパフスリーブというよりは肩パッド!って感じのラインになっていて、モダンに見える。
このぽったりした生地がヒップトップまではタイトに覆い、
ヒップトップから下は膝丈タイトドレスのスカート部分を4つに裂いて下から黒の中に金と紫を隠したボリューミーなフリフリレーススカートがぼわっと溢れ出てるようなデザインになっている。
くるりと回って確認すれば、メイドがニコニコして拍手する。

今回、約束の時間は何時もより30分早く6時。
アレックスに6時に迎えに行くと言われ、エスコート相手の有無を聞いてくる両親には、アーレク・オニキス男爵子息にエスコートされると言えと指示されたのでその通りに手紙を書いた。

もうそろそろ時間だ。ちっさなポーチの中身を最終確認して息を吐く。

時計が6時を指すちょっと前。早歩きな足音を待っていた私の耳に、少し抑え気味のコツコツ、とゆったりした靴音が届く。

この音は……?と思っているとノックされ、対応したメイドがドアを開けて私に目線で促す。


「こんばんは、今日も夜会日和ですよ、フェリシア嬢。少し早いですが、お迎えに上がりました。」


そこには、蕩けるアメジストの視線を送ってくるアレックスが居た。







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