本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why?

syarin

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Xmas!! 旅だ!旅行だ!年末年始だ☆

290: 地味令嬢とヤンキーと初めてのリゾート時間。

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轟轟と音を立てて真っ白な水が上空から滝壺に叩き付けられる、壮大な滝に感動した後、近くの宿を取った。

何気に、自分で宿を取るのは初めてだったので、ドッキドキだった。

こ、これぞ旅だわ!冒険だわ!!

宿に入り、ホッと一つ息を吐く。広い、豪華な部屋。
広いバルコニーにジャグジー付。


ぐるっと見回してから、アレックスに部屋番号をスマートブレスレットで伝える。送信すれば、直ぐ後ろから声が聞こえてきた。

「うん?もう知ってるぞ?」

後ろから柔らかく抱き締められて、首もとにそっとキスをされる。

早いなぁ。全然気付かなかった。






滝の音を微かに聴きながら、ジャグジーの泡を見つめる。
この世界にジャグジーがあるとは知らなかった。

「はぁ、気持ちいい……。」

思わず呟けば、向かいでスパークリングを飲んでいたアレックスがグラスを置いて頷く。

「ああ、これは、いいな。」

ぬるいお湯に浸かって2人とも身も心も解れた顔をしている。
そんなお互いの上気した顔を笑って、はぁ、と湯に身を委ねる。

「これ、空き教室に欲しいです。」

「流石にこれは、無理だ、凄く高いんだぞ。しかも工事も大掛かり。」

「はぁ?高々、湯と空気を勢い良く穴から出して循環させるだけでしょ?
なんでそんな大掛かりなんです??」

「知るか。そう思うんだったらフェローが試しに作ってみてくれよ。これが毎日味わえるなら天国だ……。」


え、俄然ヤル気出ちゃった。

ヒントになる術式とか見れないかと頑張ってみたが、
絶対術式見せないマンらしく、アレックスと一緒に頑張っても無理だった。チックショーー!

ま、その後はお決まりの流れで、軽く2人で絡み合う運動をした後、私達はジャグジーから上がり、少し町を散策した。

軽く買い食いをして、又宿…というか、ホテル、かな?に戻って少しイチャイチャとおしゃべりをして過ごした後、ディナーに向かう。
ホテルのディナーだと宿泊名簿と照らし合わせれちゃうので、ホテルの食事は朝のみにしてある。

近くの人気だというレストランに、いつものお忍びスタイルで向かう。
マスがでかくなって足が生えたような魚が名物らしく、魚尽くしだった。
バターが効いていて美味しかったが、少しバターの風味が重ったるい気がした。これがムンストーンのバターとの違いなんだろうか?
あんな話を聞かなかったら判らないレベルだけど、一度意識すると、少し感じる違和感がある。

「どうした?神妙な顔して。骨でも刺さったか?」

そんな顔してた?

「や、言われてみればバターの風味が重い気がして。」

「ホォクァイのバターをムンストーンのバターと比べるなんて可哀想なことをしてやるな。
いや、この国のどの領の乳製品も、ムンストーンの乳製品と比べてはいけない。」

「そーなんですか。田舎だと思ってましたが、誇れるものもあるんですね、うちって。」

「おい、白手袋投げられたくなきゃ、余り他人にその台詞吐くんじゃないぞ。」

過ぎる謙遜は嫌味だ、と言わんばかりのアレックスに面食らう。
いや、本当に田舎だと思ってたんですけど……。

「だって、穀倉ですよ?それって田舎でしょ?こんな滝みたいな名所もないし。」

くたっと炒まったミニトマトとマスのソテーを一欠片フォークに刺しながら言うと、近くのウェイターの背筋が少し伸びた気がした。 

判ってないな、と首を振るアレックスに首を傾げながらマスのソテーを食べきった。

デザートは、通常のコースだった筈なのに、何だか私達だけ豪華だった。
おかしいな?と思いながら美味しく頂き、店を出ると、雪がちらついていた。

これは、前世でついぞ叶わなかった、恋人と過ごすホワイトクリスマスが実現するんじゃないか??
ワクワクしながら、雪を受け取ろうと掌を出していると後ろから抱き締められる。

「さっきのデザートはサービスだったそうだ。絶対、バターの辺りの話を聞かれていたな。」

フフッと笑う、アレックスの吐く白い息が私の吐く息に重なる。

私達は、雪がチラチラ舞い落ちるのを楽しみながら、ゆっくりとホテルに戻った。






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