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Xmas!! 旅だ!旅行だ!年末年始だ☆
288: 地味令嬢の旅立ち、ヤンキーは影のように潜む。
しおりを挟む舞踏会も終わり、明日からは冬期休暇が始まる。
初めて、家族と過ごさない年末年始。
初めての、家族以外との、旅。
わーーーー!ドキドキしちゃう!!
なんてキャッキャした夜が明け………。
あの後、残されたサンストーンとデクスターだが、
サンストーンは私達が居なくなった事に、
全然気が付かなかったんだそうだ。
どちらかと言うと、
私達が居てた事をすっかり忘れてたんだろ、と言いたい。
この初々カップルめ!
なんと、……なんと!!
2人はあの後、初めてのキスをしたそうですよ、奥さん!
やー………めでたいっすねぇ。
唇がふれあうだけのキスで、直ぐに離れたというか、
寧ろ掠めた位だったらしいが、
それでも、その日の事が忘れられなくて、
サンストーン令嬢はしょっちゅう、1人で赤くなったりしちゃうそうだ。
取り敢えず、そんな時は1、2、4、8、16、32、と数を倍にしていくと良いよって教えておいた。
くすり、と私が笑う音が静かな馬車の中、響く。
「楽しそうだな……。」
頬杖突いたアレックスが、優しく笑ってこっちを見つめる。
私はスマートブレスレットから顔をあげて微笑んだ。
今、このアメトリン王国の北端に位置するタイガァイ領の一個手前、ホォクァイ領の関所での検問で馬車が停まっている。
設定としては、ここの観光地でレックスと偶然会い、
独り旅を心配したレックスが護衛を申し出てくれる、という事になっているが、学園で馬車を依頼した時から一緒である。
実に楽しい馬車旅だった。
関所の門番らしき平民の兵が、扉を開けて中を確認する許可を求めてきたので、扉を開き、貴族らしく見えるよう、指先まで気を付けてにこりと微笑む。
「………貴族のお嬢様が、御一人、ですか?」
人の良さそうな門番の声に心配の色が滲む。
「外の世界を見てみたくて…。家の者が居ると甘えてしまうでしょ?
宿に着いたら、ギルドにでも護衛依頼を出そうと思ってますよ。
この馬車は学園から直接乗ってきたので。」
今は護衛なしだけど、直ぐに付けるよ、とニコニコ顔で言えば、
まあ、それなら……と納得はしてくれたが、まだ何処か心配そうだ。
きっと、貴族の子女なんて皆世間知らずだと思ってるのだろう。
人が良いな。世間知らずで、平民と見ると難癖付けてくるヤツも多いだろうに、気にかけるなんて。
それだけ、このホォクァイ領が平民に誠実な土地柄なのかもしれないな。
「お仕事大変ですね、良かったらこれ、皆さんで召し上がって下さい。………遠慮しないで。我が商会の商品の宣伝してるだけだから♪」
気に入ったら是非購入してね♡と門番さんにマンスターを押し付けて手を振る。
がたり、と馬車が動き出した。
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