本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

冬、到来。

285: 地味令嬢、ヤンキーからのサプライズにサプライズ！

「うん、綺麗だ……。今日のフェローは特別綺麗だ。
　このホールで一番綺麗だよ…。」

「それは聞き捨てならないな……。」

カタリと、人が入ってくる気配がした。

「我がお嬢様も忘れないでくれよ……？」

くく、と笑って入ってきたのは、
サンストーンの護衛騎士、デクスターだった。

「ぇ………？」

と、思ってると、
後ろからひょっこりサンストーンも顔を覗かせる。

『フェロー、2人には、いつもの髪型と眼鏡に見えてるから安心して』

アレックスの声が風魔法によって運ばれてくる。

後ろから抱き締められてるので、そんなことしなくても良さそうてはあるが、
きっと、私以外には聞こえないって効果があるのだろう。

ちょっと安心して、振り返ってアレックスに笑いかける。

「ほら、この間、
　壁の花させられてるサンストーンを気にしていただろう？」

そう、そうなのだ。
こないだチラッと聞いたら、サンストーンは、
入学直ぐの舞踏会も前回も出て、
初回は普通にパライヴァと入場、ダンス。
前回は、1人で入場、1人壁際に佇んでパライヴァ達とヒロインが踊るのをじっと見ている地獄を耐えてたらしい。

親からの圧が凄いらしく、取り敢えず、パライヴァと同じタイミングで舞踏会場に居てなきゃ、と、
先に帰ることもせず、パライヴァ居てる間は会場に居てたらしい。

そんなん、パライヴァがちょっと世間体保たれるだけで、
サンストーンには良いこと何にも無いじゃない！

とは言ったんだけど、ムニャムニャ誤魔化された。

もう、デクスターにエスコートして貰いなよー、と言ったら、
それにはそわそわしてたけど……。

まさか、こんなダブルデート再び！になるなんて。


でも、ちょっと嬉しいかな。
誰かと話すと、夜会っぽいんもんね。


素敵なサプライズをしてくれたアレックスに、お礼を言って、
頬にキスをする。

や、だって、人前だし？


「アレックス……」

言いかけた私の唇をアレックスがそっと人差し指で塞ぐ。

「シー……今はレックス、と。」

あ、そっか。そーだね。

「ありがとうございます。」

そう囁けば、ジュワッと蕩けるアメジストの瞳で
アレックスは笑って頷いた。



振り向けば、デクスターは既に此方は気にせず、
サンストーンにベンチを奨めていた。
あれだよ、あれ。サンストーンが座るところにハンカチ敷くやつ。

あの後、あのハンカチどーするのかな。
例えばこの後、誰かが涙してたりした時に差し出すのは、
あのハンカチなのかな。
それとも、ハンカチ何枚も持ち歩くものなの？？
誰か教えてー？何て余計なこと考える。

だって、ブレない溺愛っぷりに何だかむず痒くなっちゃって。




まぁ、そういう私は、ハンカチだと冷えるからって、
ベンチに座ったアレックスの膝に、お姫様抱っこな感じに
座らされてるんだけどね……。