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冬、到来。

281: 地味令嬢はヤンキーにおねだりし返したい。

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「良かった、じゃあ、大丈夫だな。さ、疲れたろう?
 少しお茶でも飲んでゆっくりしよう。」

そういってアレックスに連れていかれたのは、種々様々な動植物や魚などを眺めながらお茶とお菓子を楽しめる大きな動物園みたいなカフェだった。

ふぉーーすんごい!!


「何処に座る?」

なんて訊かれたけど、何処だって良いよ!何処だって最高だよ!

興奮を抑えきれずにそう囁き返すと、くすり、とアレックスが笑って、大きな水槽にヒラヒラした艶やかな魚が沢山泳いでる所へと連れていってくれた。
金魚鉢によくある水草そっくりなヴィジュアルの大きな観葉植物がパーテーション代わりに廻りを取り囲み、
何だか、小さくなって金魚鉢の中に居るような気分になった。

魚は、鯉のサイズのベタって感じ。あ、でも尾びれは金魚みたいな横方向。

いろんな色が居て、ゆっくりと優雅に泳いでいた。
何だかこっちもふわふわ揺蕩ってる気分になる。

柑橘の香りが強い紅茶を2杯ほど飲み、軽くクッキーを摘まんだ。
結構長い時間滞在していたが、私は周囲に見惚れてしまい、
殆んど無言だった。

こーゆー時のアレックスは、相変わらず、頬杖ついて、
蕩けるよーな甘ーい笑顔でこっちを眺めている……。

ふと我に返って、アレックスに照れ隠しで微笑めば、

「喜んで貰えて何よりだよ。」

と、相変わらずの言葉と共に、優しく首肯してくれる。



ほんと、どーしてくれよう?
私の好きな人、私の心臓にクリティカル攻撃ばっか撃ち込んで来るんですけど!




アレックスは夕食も何処かで食べようと思ってたみたいだが、
私はもう、今日は帰りたいとアレックスねだった。

「ね、アレックス………私からのおねだりって、嫌です?」

なんて耳許で囁けば、少し照れてたけど、
夕食はテイクアウトにして帰る事にしてくれた。

途中、マカロンの店が有ったので、
寄って貰って気になる味とか中心に買い漁りまくった。

店員はにこやか笑顔の奥で大分驚いていたが、
私は心から幸せだった。
アレックスのマジックボックスに入れて貰って店を出る頃には、
本気でスキップが出そうな位だった。





空き教室に帰るなり、私は、
アレックスが扉を閉めるのを待たずにその唇に食らい付いた。

身長差はそこそこあるので、風魔法で少し自分を浮かせて、
とりゃぁ!みたいなノリで食らい付いたが、
その甲斐あって、驚いたり嬉しがったりとコロコロ表情を変えるアメジストの瞳を堪能出来た。

しゅるり、と首元を解こうとしたら、ぐぇっと言われてしまった。

どうやら首を絞めたようだ。

別に首絞めプレイがしたかったんじゃないよ?
そんなハードなプレイ、フェリたん望んでないし。

慌ててちゃんとほどこうと悪戦苦闘している間に、
風船みたいに浮かんだ私を掴んでベッド迄移動したアレックスに
魔法をキャンセルされて、ぼふっ!とベッドに落ちる。

そんな私に圧し掛かりながら、アレックスはしゅるり、と首元を緩めた。



ちょ、それ、何処引っ張ったら良かったの……?


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