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冬、到来。
279: 地味令嬢とヤンキーの虹色にして秋冬色な朝食。
しおりを挟むレディ達の列の横をスタスタ歩いて入ったのはおしゃれなカフェで。
ウェイターがそっと、階段の方に案内してくれる。
めっちゃスマート。
入り口から見たら地階だったけど、下に降りれば、水路と綺麗に整えられた小さな庭が見えて、光が燦々と差し込む素敵な空間だった。
ふかふかの絨毯をサクサク踏みしめて案内されたソファ席に着く。
「あ、ここ、虹色ベーグルのお店……!」
ウェイターが静かに運んできたプレートをみて歓喜の声をあげる。
「店舗限定の季節のプレートで御座います。」
おおおおおおおお!
秋冬らしい茸の入ったジャーサラダと、
半円にカットしたウィンター&オータムカラーな感じでカラフルなベーグルに
スモークチキンやローストビーフ、チーズがレタスやオニオンと一緒にたっぷり挟まれたサンドが数切れ。
そして、私が愛してやまない、カラフルなレインボーカラーのベーグルに、甘くてカラフルなクリームをたーーっぷり挟んだデザートサンド……。あああ天国~……♡
まさに、至福で御座いました。
「………美味しゅう御座いました……♡」
余は満足じゃ!
超超ご満悦でアレックスに御馳走様を言うと、相変わらずジュワッと音を立てそうな位トロトロの甘く蕩ける瞳で見つめてくる。
「……どういたしまして。」
「超美味しかったけど、お茶だけは……
アレックスの淹れてくれるお茶が一番美味しいですね♡」
ちょっと、ここのは香りが甘かったんだ……。
そう思うなんて、もしかしたらアレックスに舌まで躾られたのかもしれない。
何せ、割と出会った初期からせっせせっせとお茶とエスプレッソを淹れてくれてるからな……。
「くっ……この、性悪猫め……。」
こっそり囁いたのが何だかクリティカルヒットしたらしく、
耳と頬を赤らめて顰めっ面で返されてしまった。
でも、その瞳はとっても嬉しそうで、私の骨の髄まで蕩けさすような色気に溢れていた。
さて、出ようか、と促され席を立つ。
出てきた時、
列は進んでるけど、入店時に並んでいたレディ達がまだ並んでおり、この店の人気具合を伺い知った。
「フェロー、こっちだよ。」
そうアレックスに連れられて暫くプラチナ区域を歩く。
アレックスが歩調をゆったりにしてくれたので、前方注意なんかはお任せして、存分にキョロキョロする。
何せ、こうやってそぞろ歩きをするのは初めてなのだ!
馬車で乗り付けるとか、舟遊びするとか、何か上級を先にやってるけど、本来、プラチナ区域の観光ってそぞろ歩きがメインだからね?
テンション上がっちゃうよー!
なーんて考えてキョロキョロしてる間に、建物に入って、カツカツと案内されるまま大理石の廊下を歩いて、階段上って、
やってきたのは、プラチナ区域に店を構えてウン十年?百年?
な老舗の仕立て屋だった。
しかも、これまたVIPルームである。
私愛用の商会と違って、花を飾ったりなんだり、凄いゴージャスデコラティヴである。
こんなとこで何すんの??
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