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豊穣祝祭期間

272: 地味令嬢は悪役令嬢とお茶を嗜み、思い出す。

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「……それで、そっちは大丈夫だったの?」

紅茶を1口飲んでから、サンストーンがゆっくり口を開いた。

「だ、大丈夫……とは?」

「仮面付けてたって、房飾りは見えてたし、助けに来たのは、
 レックス様だったわよ…?」

あー……そら、バレるかぁ。

「まぁ、まぁ、怒られた、かな。」

「まぁ……。ごめんなさいね。でも、貴方が来てくれたお陰で、
 私、無事だったわ…。感謝してる。」

そう言って、あの時の事を思い出したのか、
そっと涙を流すサンストーンに、私は二の句が告げなくなった。

私は今、談話室でバレリーと金算段で盛り上がった後、
通りがかったサンストーンに誘われ、サンストーンの部屋でお茶をしている。

ローズゴールドと柔らかなピンクで整えられた部屋は、
悪役令嬢に似合わず穏やかで淑やかなサンストーンを良く表していた。

まぁ、悪役令嬢的な事は殆んどしてないがな。

それにしても、悪役令嬢ポジだけど、本来のサンストーンの退場イベントも起こるとか、中々恐ろしいな。
助けられて良かった……。

退場イベントが学園祭だったなんて、そこまで詳しく知らなかったからマジ焦った。

しかも、魔法使えないとか。
スペルジャミングだっけ?恐ろしいモノがあったもんだ……。

窓からふわふわと差し込む暖かな日差しに、
私はあの騒動の後を思い出していた。


ーーーーーーー

ーーーー

ーー


「起きたか?フェロー……大丈夫か?」

目を覚ますと、いつもの定位置、アレックスの腕の中で。
ぼんやり、朝かな?なんて思っていたら、全然朝でも空き教室でもなかった。

「…………………?」

「フッ……何をどうしたか全く覚えてない、って顔してるな。
 学園祭の途中で、サンストーンが襲われてるの助けたんだよ。
 そんで、そのまま学園出て宿取って、3時間位寝てたかな…。」

「……そうだった。サンストーン襲われてるからって突入して、
 魔法使えなくて中々痛い目にあったんだった。」

「……痛い目?」

ぼーーっとしてたせいか考えたことがそのまま口に出た私に、
アレックスがピクリ、と反応する。

「あ、最初、魔法使えないから、魔力の蔦でぶん殴ったら、
 向こうのが、やり慣れてて……。
 魔力の蔦で蔦を絡めただけなのに、全身超痛くされて。
 後、なんかスッゴい気持ち悪いこともされた……。
 ………あんな事も出来るんですね……。」

「ほほう……。どんな事されたって?」

何だか温かいせいか、微睡んできて。
喋りながらアレックスの胸におでこをグリグリしてたら、
上から低い声が降ってくる。

「何か、超絶痛くされたり、あんな……全身舐め回す、みたいな?
 魔力の蔦だけでイカされそうになるとか……。
 アレックス…に、電マでしつこくされ慣れてなかったら、
 ヤバかったかも………。」

「そーかそーか。なら、今後の為にも、
 もっとデンマで鍛えとかないとな?」

「……ん。」







「………………………?」

どうやら、また寝てたようだ。
起きたら裸で拘束されていた。


解せぬ。




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