本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why?

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豊穣祝祭期間

270: ヤンキーと護衛は愛しの令嬢を救出する。

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フェロー!無事でいてくれ!!


「おい、デクスター!そっちは何処に居たんだ?!」

「あの園庭のテーブル席でお待ち頂いていた筈です!」

俺の言葉にデクスターが、向かってる場所とは反対方向を指差す。

「ああ、なら、そっちが狙われたな。こっちは、
 この方向の屋上に待たせてた。そっから裏の林が見える。
 人気が無いから、何かするには持って来いだ!
 首突っ込んだんだろう。たすけ、って通信が来てたのに、
 パライヴァが傍に居たから受信が妨害されてた……!」

直ぐに気付けなかったのが悔やまれる。
取り敢えず3文字打てば直ぐ来てくれると思ったんだろうに…!
フェロー……!

「くそ!油断しました……!
 あの後、家からもう一人護衛が来たので、
 ソイツに任せて買いに来たんです。」

「お前は俺と違って本物の護衛だもんな……。」

時には離れないと、関係を怪しまれて護衛を外され兼ねない。
って、とこかな。

「それにしても、さっきの房飾りのアレは何でしょう??
 そんな機能は聞いてませんでした。」

「俺も判らんが、俺のもお前のも、
 軽くする術式とか掛けてるの、彼女だから、
 何か組んでたのかも知れん!おい、あそこだ!」

身体強化も使って駆け付けた林は、
一部の木がゆっさゆっさと揺れていて、フェローが何処にいるかは一目瞭然だった。

何してるかは全く予測つかないが。


もう姿が見えそうだ、という辺りで、俺の探査魔道具がスペルジャミングの結界を感知する。

「おい、デクスター!こっからは魔法が使えない!
 俺は右から左に抜けて彼女を奪取する!
 お前はこのまま行って、
 愛しの彼女だけ奪取して直ぐ現場離れろ!
 噂だけでも令嬢には致命傷だ……おい!変なこと考えるなよ!
 大丈夫だ!傷がつかなくても婚約は絶対破棄される!
 どうせ破棄なら、
 パライヴァから金毟り取って破棄する方が良いだろ!
 良いな?!直ぐにここから離れろよ! じゃな!!」

そう言って、俺は身体強化のままスピードを上げた。

「魔法使えなくなるんじゃなかったのか?!」

「お前はな!俺はイケる!
 装備が違うんだ、装備が!!」

俺が右から回り込むと、枯れ葉で出来た衣装でバイオリンを掻き鳴らして躍り狂うフェローと、不安そうにへたり込むサンストーン令嬢が見えた。

ごろつき共は吹っ飛ばされたり、枯れ葉のヒトガタと殴りあったりしている。
木の幹からラッパの傘みたいなのが突き出て震え、
轟音で音楽を奏でていた。

全く、デートの時と云い、不思議な魔法だ。

フェロー!!
標的じゃないのに名前は晒せない。俺は心の中で呼んだ。

「っう!!?」

ロープ状にした魔力の蔦を枝に絡ませ、
木々の隙間から飛び出てフェローを掬い上げる様に抱いて、別の木の上に飛び移る。

妙な魔法の証拠隠滅をしなければと思ったが、フェローが宙に浮いた途端全て崩れて只の土と枯れ葉に戻った。

「カメリアァァァ!!!」

デクスターが剣気の一閃でごろつき全員を凪払った。

あいつ、中々強いな。

取り敢えず、学園の別の端の方まで進む。
フェローは極度の興奮状態らしく、俺が眠らせるまで笑い通しだった。


親父から無理言って借りてきた鑑定具。
マジックボックスから取り出した鑑定具を当てると、
動力源の結晶をセットする前に作動した。

驚いた。これ、特殊な配合の多大な魔力じゃないと作動しないから、その魔力が高価なのに、まさか只で使えるとは…。

「何だこれ……魔力量だけ、えげつないな。それに、称号が…。
 悪戯と自由、奔放を司る三神と女神を嫌う二神に導かれし者?
 退屈精霊王を慰める者??
 どういう称号かは判らんが、つまり、さっきのは精霊の力を借りたってことか……?」

フェローの魔力でそのまま作用する鑑定具、
フェローの称号、
先程の精霊のような踊るヒトガタ……。

精霊に親和した何かがあるのかも知れないな。

ていうか、悪戯と自由、奔放って。フェローらしい。

「兎に角、王家と神殿には絶対に
 鑑定されないようにしないと、だな。」


俺はフェローを抱き直してキスをすると、
宿を取るべく学園を後にした。


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