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後期!
232: 地味令嬢のお祭り計画と男爵令嬢達の男爵芋
しおりを挟むごろり。と麻袋から大きな男爵芋が1つ零れる。
え?なんで?
突然の芋に目が点になっていると、ミュゲ令嬢はフフフっと恥じらうように笑って言った。
「ほら、今年、色々豊作な上、芋は大豊作でしょう?うちの領、
毎年特産の芋を売って現金収入の足しにしてるんだけど、
今年は何処も大豊作で安値でさえも買ってくれなくてー。
勿体無いし、現金収入は入らないしで、仕送り代わりに芋が実家
から山程届くのよー。
人にあげようにも、コンワラリヤさんもリンランさんも領地が隣
で同じ状況だから、あげれないし……、
なんなら、周りの男爵令嬢大抵そうだし。
……ほんと、男爵芋とはよく言ったモノよね…。」
や、多分語源は違うと思うよ……?
「てことで、我が国の穀倉、ムンストーン領だって豊作だろうけど、
伯爵芋なんて聞いたことないし、
いつもお肉食べてそうなフェリシアさんにプレゼントしようと思って♡」
こ、こじつけーー………。
何でもイイから貰ってほしいんだな。
もう芋は沢山。顔にそう書いてある。
よっっっぽど食べ飽きたんだなー。……あ。
「ねえ、芋、そんな安いの?幾ら?」
「…え?芋の値段??
えっと、毎年大体この位の袋が銀貨1枚でね……。
今年はほぼ赤字の2袋1枚でも買って貰えないの……。
買っても売れないからって。」
はっはぁ、確かに安い。領の芋使おうかと思ってたけど、うちそんなにダブついて困ったりしてなかったよね。………よし!
「ねぇ、じゃあさぁ、その平均の値段と最安値の中間値でさぁ、
売ってって言ったら嬉しい?ま、そんな大量には買えないけど」
「え!嬉しいわ!勿論よ!も、本当に大歓迎!一袋からでも大歓迎!!」
やったぜ!ちょっと節約出来そうで顔がにやける。
「じゃぁ、ムンストーン領までの輸送費込みで金貨3枚分程貰える?」
「「「金貨!??」」」
実は聞いてたらしいコンワラリヤ令嬢とリンラン令嬢も合わせ、3人のすっとんきょうな声が教室に響く。
「ゃ、今度の豊穣祝祭、領のお祭、私が担当させて貰っててさー。
豊作だし、芋使おうって思ってたの。
領の芋よりそっちのが安いし、捌けたいんでしょ?
うち、確かに豊作だったけど、そんな困ったりしてないから、
そっちのを買うよ。」
何か、3人が私を見る顔が、救世主を見るよーな顔つきだった。
「ぁぁぁ、フェリシアさんたら芋の神様かしら!??
輸送費込みね!金貨3枚ね!?小金貨じゃなく。
あ、うちの領だけじゃなくて、近所の領とブレンドしても大丈夫!?その方が輸送費が安くなると思うの。」
「全部芋でしょ?品質めっちゃ悪いとかじゃないだろうし、ミュゲ令嬢にお金渡して、そちらでちゃんと分配してくれればこっちは全然構わないよ。」
ぇ………!私が金貨3枚渡されるの……?!
ひゅっ…と息を吸い込み、ちょっと蒼白な顔で令嬢が呟いてたが気にせず小切手書いて渡す。
「はい。先に渡しとくね。祝祭期間迄に届けてくれたらいーから。」
「ううううううんんん………ゎゎ判ったゎゎ……ちちちち父にすすすぐ、れれ、れんらくをぉぉ……」
「大丈夫??何か輪郭ぼやける位に震えてるけど……ハハハ!」
焦る令嬢が可愛くて思わず笑ったら、むきぃ!とちょっと怒って、
それで気が紛れたらしく、父にすぐ連絡する!と言って3人で寮へと帰っていった。
私も、かなりお買い得だったで、ほくほく顔で空き教室へと向かった。
次の日には、幾つかの領から芋が発送された、との報せを貰った。
早速、その旨をスマートブレスレットで領の従者ロッドに伝えた。
届き次第、領内の15箇所の教会に運んで手順通り進めるように指示を出してくれるだろう。
夏休みにダディから借りたまんま私の護衛と従者になったラッセルとロッドは、
もともと、幼い頃からちょくちょく私の面倒を見てくれてただけあって、今やどんな指示にも黙って協力してくれる、なくてはならない部下になった。
今度、ボーナス弾んどこう。嫁と旨いもん喰えよ……!
もーすぐ豊穣祝祭期間。今年は遊ぶぞーー!
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