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後期!
230: 暴発地味令嬢、水髪教師に目を付けられる。
しおりを挟む「はいっ、じゃあ、今日は実践を行いますので、真剣に聞いてくださいねー。」
とうとう魔法だーー!
心躍りながら、配られた教則本を開いて………っく!ページ捲れない!
色眼鏡の機能で教則本を見たら、勝手に先のページが見れないように、ガチガチに制限がかかっていた。つらたん。
「良いですかー?古代語で『美しき雫の蒼よ在れ』ですよー。
まずはこれを暗記しましょう!」
控えめ三人組と一緒にカリカリとノートに書く。
古代語かぁ。美しき、は雫、水の精霊の協力具合を安定させる枕詞なのかな?だとすると……
「や、君は、術式を結構学んでるんだね?
でも、その行為は無駄だから素直に暗記しようね。
術式から入ると、皆、まずは構造を理解して、
そこに古代語を当て嵌めて行こうと考える様だが、
魔法は結構構造ってのがイイ加減でね、そうやって覚えようとすると再現なく覚えなきゃいけなくて、逆効果なんだよ。
『魔法の場合はひたすら一個ずつの呪文を暗記。
組み合わせれるようになるのはその後。』
術式学の教授である僕の兄が当時、それで魔法の成績が伸び悩んで、
卒業後に出してた結論だから、間違いないよ。
それ聞いて僕は丸暗記に徹して、お陰で魔法学を首席で卒業、
今は魔法学の教師だよ。」
わーぉ、めっちゃ諭された。
「あ、じゃぁ、先生のお兄さんが、あの、わさぁってした方……」
「ちょっと!この美しい僕の兄があんなモッサリワサーな訳ないだろう。
そっちじゃなくて、僕と同じ水色の髪と紺の瞳のシュッ!てした……見たことないって顔してるな。
きっと、その時、研究室に居なかったんだな。忙しい人だから……。」
成る程、そうですか。癖強いなぁ、この先生。
取り敢えず、術式学の先生がそう言ってたなら、そうなんだろう。
実際、構造から理解しようとしたしな。
私は素直に暗記することにした。
「はーい。頭の中に全文ありありと浮かぶ位、
しっかり暗記出来た人は、その呪文に魔力を乗せて…」
ブシャシャァ!!うわ!キャァ!
「こらぁ!早い!誰だ、先走って無詠唱で発動させたの!
最後まで話を聞いてから!」
怒られた。
いや、先生の言う通りに想像したら発動する、
とか思わないじゃん?
掌をじっと見ながら想像したので、思いっきり顔に掛かった。
飛沫が飛んだであろう周囲にも謝ってクリンナップで水気を飛ばす。
「良いですか?向けたい方に掌とか杖を向けると制御しやすいですよ。
直接手から出すか、離れた位置から出すか、どのくらいの量を出すのか、それらは全て術者の制御によって調整されます。
只、呪文毎に最小と最大の威力が決まっていて、中威力の魔法で雨垂れみたいな量にすることは出来ないし、小威力の魔法で滝のように水を出す事も出来ません。他の属性も然りです。
先程でも判るように、暴発は怖いですから、害の少ない水魔法でしっかり発動と制御の感覚を覚えてから他の属性魔法に取り掛かりましょうねー。」
当て擦りキッツ……。大体……あっアワアワアワ!
シビビ……プッシャァァァ!!
「「「キャアーー!」」」「や、冷たい!」「「「うわー!」」」
「ごめんなさい!!クリンナップ!」
「あー……皆、
暴発したら、ムンストーン令嬢が乾かしてくれるみたいだから、
安心して、しーっかり練習してね。
このクラスはラッキーだよー。」
はい、そりゃもう、勿論。喜んで乾かしますよ。トホホ……。
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