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後期!
219: 地味令嬢とヤンキーと武芸祭と房飾りと
しおりを挟むアレックスの言った通り、パライヴァが優勝した。
面白かったのは、
攻略対象ズ全員、桃色!って感じのお揃いの房飾りを着けていた事。
ピンクじゃなくて桃色。あの色鉛筆とかの。
しかも、○の回りに5つ○を描いたよーなシンプルなお花のモチーフも着いて……。
単体なら可愛いんだけど、皆長身で画体もよくて、それぞれ格好いい軍服みたいな制服に身を包んでるのに、
幼稚な桃色の房飾りをお揃いで着けていて、
それだけがどーしょーもなく浮いていて、
可笑しくて可笑しくて。
「ふっ……ぷふっ…ぷぷ………プハッ……ふはっ…ん"っん"ん"!エヘン!」
プルプル笑いを堪えていると、
「笑っても聞こえやしないさ。」
と言われて、
「アーーハッハッハッハッハッ!」
堪らず笑い転げる。
アレックスもつられてクックと笑っている。
「………はぁ、可笑しかった。
でも、普通なら罰ゲームみたいな房飾りを、
ああやってお揃いで着けるなんて、
あの人達は本当にヒロインの事が大好きなんですね。」
「………そうだな。」
アレックスが沁々と言う。
「ねぇ、アレックス様は、私が作った房飾りが………
あんな感じでも、着けてくれました?」
「当たり前だろ?フェローが頑張って作ってくれたんだから。」
何だか嬉しくなって、椅子から身を乗り出してアレックスにキスをした。
「ありがとうございます。
………その房飾り、似合うものが作れたと自負してるんですが、如何です?」
恥ずかしくて顔が見れなくて、アレックスの肩に頭を預けて聞いてみたら、予想外の答えが帰ってきた。
「あ、れ…?もしかして、これ、手作り?」
吃驚して頭を上げてアレックスを見る。
「当たり前じゃないですか!
手作り房飾りを贈るって教えてくれたのはアレックス様でしょ?
趣味全開ですが、結構、アレックスの服に雰囲気合わせようと頑張ったんですよ?」
言いながら、そっと房を撫で、房とリボンの一部を裏返して隠してた私の色を見せる。
「………すまない。噂で、今年は房飾りを購入した令嬢が多いと聞いて……。」
「え?殆どの令嬢が手作りですよ?
皆で談話室で作ったんですから。」
そう、あの日以降談話室では、苦手な令嬢達に通りかかった器用系令嬢がアドバイスしたり、
なんならプチ講習会が開かれたりと、結構皆、わいわい楽しく、なんなら複数作ってた。
私もサンストーンもパーツ放置して無人販売所になってたので、
ソコで買って誘い合って作る、みたいな。
うん。とても楽しかった。無駄に私も5つくらい作った。
取り敢えず、今聞いたことを、スマートウォッチならぬスマートブレスレットでバレリーに送る。
『房飾り手作りじゃないて噂あるらしい』っと。
すぐに、風に乗ってバレリーのすっとんきょうな声が聞こえてくる。
「えぇーー?!皆が一生懸命作った房飾り、
手作りじゃないって思ってる人がおるってほんま?!」
演舞場の周囲にさわさわと令嬢の動揺と、これは作ったのよ!みたいな声、令息の謝るような声が広がる。
ホッとして横を見たら、
アレックスが茹でダコになって房飾りを弄っていた。
えっ!!?
と思ったが、
そんなアレックスを見て私も何だか茹でダコになってしまった。
「指に怪我とかしなくても、作れるもんなんだな…。」
誰と比べてんだよ!
演舞場の向こーーのヒロインの絆創膏だらけの指を思い出す。
「2mmの銀線にそれだけの術式を刻める器用さですよ?血を使う術式でも使わない限り怪我なんかしませんよ。」
マジックボックス指して思いっきりドヤ顔で言ったら、
沢山のキスが返ってきた。
手作りそんなに嬉しかったのか。
後、プロ級の手作りはちゃんと言わないと判りにくいんだな。
そんで、プロ級だと認められたみたいで嬉しいな。
なんて考える。
「全く、指輪からして銀線捩って石を石留に填めて銀線と熔接した
完全手作りなのに、
良く、房飾りなんかの手作りを疑いましたね。」
笑って言ったら、アレックスが凄い顔で驚いていた。
あれ?
言わなかったっけ?
何か笑えてきた。アレックスも笑ってた。
そー云えばそーだった、なんて言ってる。何だ忘れてたのか。
暫く笑った後、アレックスがココアを淹れてくれて、
暫く此処で見てて、と言って何処かへ行った。
言われた通りほげーーっと見てたら、
剣術と魔法と体術の部門が終わり、
魔技格闘とかいう何でもアリな感じでソコソコ人気の無い部門が始まる所だった。
下の方から、いつもは人気がない部門なのに、大物が皆出るらしい、という令息達の興奮した声が聞こえる。
へー、と思って見てたら、優勝候補とかいう、何処かの男爵令息が、
アレックスだった。
えっ?
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