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後期!
218: 出歯亀地味令嬢と悪役令嬢と武芸祭と房飾りの行方。
しおりを挟む武芸祭当日、
ちらっと顔を出して見たら、凄い熱気で面喰らった。
遠くからチラチラとサンストーンを探す。
いた!
どうやら、攻略対象ズとは別行動のようだ……。
人の間を縫って、サンストーンに近付く。
「あら、ムンストーン…。貴方も来たのね。」
「見るものないから、すぐ帰るけどね。」
自分の耳に着けた房飾りのピアスを指差す。
一見、ユニコーンカラーのそれは、親しい人の色をパステル調に寄せ集めた中にアレックスの色を隠したモノだ。
その色だけ鮮やかにした、寄り添うアレックスと私の色が、必ず正面に来るようにして作った。
「他にも耳飾りにしてる子が居れば、サンストーンのだけ悪目立ちしないと思って。」
「あら、ありがとう。 ……貴方の言った通り、
殿下は蓋すら開けなかったわ……。
それに、殿下の着けてた房飾り、
凄くシンプルだったの。
貴方って予言者ね……。」
そう言って笑うサンストーンは、可憐さの中に少し妖艶さが混じって、めっっちゃくちゃ可愛かった。
そして、私よりも熱い視線で、そんな美少女を凝視している人物がいた。
隣に張り付いている赤と白の制服に身を包んだ騎士。
サンストーンの耳に燦然と輝く美しい房飾りと似たデザインで、
同じく燦然と輝く豪奢な房飾りを着けた、黄緑の髪にモカブラウンの瞳の塩顔。
ふーーん。
「ねぇ、サンストーン。その方が護衛なの?
房飾り、良く似合ってるね。
ねぇ、騎士様。
その房飾り、サンストーン、何日も凄く頑張って作ってたんだよ。」
ニヤニヤしながら言うと、
もう!とサンストーンがポカポカと叩いてくる。
何だこの可愛い生き物は!
騎士は騎士で、無表情がちょっと嬉しそうな色を浮かべていた。
ふーん。ふーーーん。なる程ね。
馬に蹴られる前に退散することにした。
あの騎士って、多分、原作でサンストーンが襲われてるシーンで描かれてた、メインに襲ってる青年だよね。
サンストーンが好きだったから無理やり襲った的な?
現状だと、早々に婚約者が決まって、叶わぬ恋に、少しでも傍に居たくて騎士になった的な??
うはぁ、妄想が膨らんじゃう。
まあ、皆幸せになれたら良いな。
アレックスを探して彷徨ってたら、いきなり物陰に引きずり込まれた。
アレックス見っけ!と思ったら、唇が降ってきて、
そのまま、蕩けて立てなくなるまで深く、淫らなキスをされた。
「フェロー、見っけ……。」
トロンとした私をお姫様抱っこしてアレックスが歩き出す。
着いた先は、演舞場が良く見える用具室の屋根の上だった。
なんか、フッカフカのクッションが着いた椅子が二脚とサイドテーブルがセットされている。
まぁ、特等席ね♡
お茶淹れてもらって、お菓子モグモグしながらトーナメントを見物した。
アレックスの言った通り、パライヴァが優勝した。
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