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後期!
215: 地味令嬢と悪役令嬢と房飾りを作る会。
しおりを挟む次の日から房飾り作成に入った。
呼んだら直ぐ来た商人に、ビーズとリボンの基本的な詰め合わせセットを寒色暖色無彩色の3セット全てと、
セットに入ってない高級リボンやビーズ、パーツの中から気に入るもの全て、取り敢えず気になったものは全部購入した。
こーゆー、余り大人買いされない商品を大人買いすると、前世も今生も、売り手の顔や反応が面白いから好きだ。
ブランド服なんか大量に買ったらすごい金額になるが、
小物は服1着分でお大尽になれたりするので、ストレス解消にオススメである。
商人のオジ様は、顔はずっとにこやかだったけれど、帰る頃にはちょっと地面から浮いてるんじゃないかと思う位ふわふわしていた。
全て抱えて談話室に行き、広いテーブルに並べて色々考えて作成していたら、何処からともなくバレリーがやって来て、私から明細を受け取って単価を計算し、値札を付け始めた。
途端に、令嬢達が群がり、皆で房飾りを作る会になった。
どうやら、ある程度は出来ていて、私の詰め合わせに入ってたリボンやビーズパーツをちょい足ししたい子ばっかりだった。
キャッキャウフフと皆で作っているとサンストーンがやって来た。
カメリア・サンストーン。私の代わりにパライヴァと婚約した令嬢。
原作では私と争って在学中に暴漢に襲われて退場する令嬢。
金髪碧眼縦ロールの見た目に反して、意外と大人しく不器用な令嬢。
おいでおいでしたら少し嬉しそうにやって来た。
「房飾り?皆で楽しそうね……。」
私の手元を見て不思議そうに呟く。
「……黒?……お相手が黒髪なの?」
「黒い衣装が多いから。」
わざわざ捲らないと判らない所に潜ませた私の色を見せる。
「サンストーンも一緒に作ろうよ。
こういうのは作るのが楽しいんだよ。
どーせ無駄になるやつはテキトーにしてさ。
いるでしょ?いつも護衛してくれてる騎士とか、
日頃の感謝を伝えたい人。」
そういって、サンストーンを見上げたら、思ったより目がキラキラしてた。
か、可愛い!
吃驚した!突然の美少女のキラキラ顔で、心臓がもげるかと思った。
悪役令嬢って顔面良いから困るよ……。
キラキラサンストーンはいそいそと出ていったと思ったら、
暫くして、んしょんしょと沢山のリボンやビーズ、パーツが詰まった箱を持ってきた。
私の隣のテーブルにわーーっと並べる。
沢山の高級リボンやパーツに令嬢達の目が釘付けになる。
サンストーンに乞われて、バレリーが値段を付けていく。
サンストーンはその中から幾つか選んで私の隣に座った。
「その、中に入れ込むの、やり方教えてくださらない?」
「勿論!一緒に作ろう♪ ここがね……。」
パライヴァのは職人に頼んだらしい。
だよね。家の面子あるし。
どーせゴミにされるなら、手作りで心なんか込めなくていーよ。職人には悪いけどさ。
それより、手作りを喜んでくれる人に作ろう。
なんて話しながら、流れでパライヴァ用の房飾りを見せてくれる事になった。
「うっゎ!超キレー!!え、勿体な!これ、お蔵入りされちゃうの??」
サンストーンの煌めく金髪色のタッセルと紐に、
抜ける様な空色の瞳と同じ色のリボン、
キラキラと光を反射するいくつものオーロラ色のカットビーズがふんだんに使われていて、垂涎の美しさだった。
「仕方ありませんわ……。
父も母も、どう言っても、最高級のモノを依頼しなさい、
の一点張りで。」
「え、じゃぁ、ご両親はこの完成品は見たの?」
「…? いいえ?」
ごきゅり、と喉がなる。
「……じゃぁ、この房飾りを見た人は私達以外は誰?」
少し、掠れた、囁くような声が思わず出る。
「……?? え、ええと、まだ、職人と私と貴方しか見てないわ…。
あの時、侍女は違うことをしていたから。」
「……じゃぁさぁ、別に、此れをあげなくても良いんじゃない?
親の言う通り、"最高級を注文"したんだし。」
サンストーンは混乱してるのか、目をパチパチさせて考えてる。
私は房飾りをそっと取って、サンストーンの顔の横に添えた。
「これ、サンストーンに凄く似合うんだけど。
耳飾りか髪飾りにしちゃ、…だめ?」
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