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後期!
204: 地味令嬢と特別な満月と狂乱サバトの始まり。
しおりを挟む今日は、前世でいうスーパーブルーストロベリームーン(適当)的な、
超月がおっきく綺麗な日である。
が、占星術的になんかがどーとかなだけで、
この国の人あんまりイベント的にお月見はしない。
恋人たちのイチャイチャの延長線で、月を眺めたりする位らしい。
てぃたれんらでるんなっ♪
イヤホンから前世で好きだった月夜の歌を流し、
マンスターをジュルジュル啜りながら、
魔道具の根幹となる術式を石に刻み込んであっ!
ズレた!くっついた!失敗した!
ムッキャーーーーー!!!
ガシガシガシー!と髪をかきむしり、机にゴンゴン頭をぶつける!くっそっが!!!
「はぁーーー……。」
そう、生理です。こっちの表現だと月です。
超がつく満月に生理で、十代ですよ?
まほーの力で血は殆んど出ない位の軽いやつしか来なくても、
イライラは来るのよー!!
P.M.S!P.M.S!P.M.S!
あっ♡あっ♡…あはぁん♡♡……はぁん♡
外からは元気にヒロインちゃんの嬌声が聞こえております。
綺麗な月見ながらとか燃えるねー。はぁ。
もー、最近ね、割と護符無しで無視できるようになってきた。
虫の音みたいな感覚。
今日はアレックスは遅くなるそーです。
ふーん。
まぁ、生理だしぃ。
別にガッカリなんてしてないもーん。
机に頬付けて、月を眺めていたら、微かに虹色に輝く月の光に誘われて、思わず窓に張り付く。
煌々と輝く月の光が、美しくて、
バルコニーに出ると、燦々と降り注ぐ月光が体内に吸収されて、
どんどん不思議な力になって漲ってくるよーな感覚に陥る。
私の瞳は朱く光を放ち、
白銀の牙がニョッキと生えている気がする。
ドクンドクンと心臓が脈打つ。
心が、魂が、叫べと、吼えろと囃し立てる。
「ああああああああ!!!月だーーーーーー!!!!」
バルコニーの緣をガッシリ掴んで、月に向かって吼える。
階下でキャァッ!とヒロインが悲鳴を上げたのが聞こえるが、そんなこと気にしてる場合ではない。
血が滾る!
もう一度吼えようかと思った瞬間、
ガタン!「私も月ーーーーー!!」
バタン!ガタッ!
「「私も、私も月よーーーー!!!」」
「月ですーーーー!」「月!!月なのぉぉぉぉ!!」
あちこちの窓やバルコニーが開いて、月の令嬢たちが叫ぶ。
どうやら寮の約半数が今、月の様だ。
まぁ、本来、群れで子育てする人間は、
仲良しグループで生理が揃うらしいし(生理が揃う=排卵日が揃う=皆で妊娠出産育児協力できるって事らしいよ)、
月の満ち欠けと生理は揃いやすいから、
この狭い寮に此れだけの女子が集められてたら、そら半分生理来てても可笑しくないよね。
しかも、スーパーブルーストロベリームーン(適当)だし。
ルナティック☆にもなるよね!
ルナティック☆
「イライラします!イライラします!!」
「もぉぉぉ、私なんかぁぁぁ!!うわぁぁぁぁ!!」
「ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
うーん、皆もルナティック☆
前世で好きなアメリカの小説では、
生理中に衝動的にチ◯トスのトラック襲って車一杯詰め込んで逃げたけど、ふくよか判事と主人公に同情されてたモブとか出てきたしなぁ。
よし!!
「月のご令嬢達よ!!私はァ!今からァ!
大量のマカロンとぉ!お菓子とぉ!
チキンや肉を持ってぇ!談話室に行きまぁす!!
月でも!
月じゃなくても!!
寝れない子は!!
おいで!!
カモーーーン!
レッツゲッタパーリーーーイ!!!
Wooooooo☆Hooooooo!!」
息を飲んだり、わぁ。と呟く声がする。
「私も!沢山パイを焼いたんです!!」
「行きます!!芋の煮物持っていきます!!」
「タコのおでんがあります!」「お茶持っていきます!」
「スイートポテトあります!」「飴煮あります!」
「カボチャー!カボチャはないんかー。」
「「「私も行きます!!」」」
わぁわぁと段々賑やかになってくバルコニーから室内に入り、
部屋着の上から猫のつなぎを着て、
マジックボックスを確認。
私は一階の談話室へと弾丸の様に駆け降りた。
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