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後期!
197: なりきりヤンキー地味令嬢、不良観の違いに翻弄される。
しおりを挟む「なぁ、所で、次の授業って俺、いつもどんな態度で出てたっけ?」
「へ?……あー。不良らしい感じで出てましたねー。」
「ふーん。あんま普段と違和感あると困るからサー。」
「まぁ、今の感じで大丈夫だと思いますよ。
ちょっと虫の居所悪いのかなーって感じな程度ですし。」
「そっか。センセーには?センセーにも態度悪かったっけ?」
「あ、いえ、授業態度は真面目にされてましたよ。」
「そっか。聞いといて良かった。」
教室についたのでガン!と扉を蹴って開ける。
ビクッと数人の生徒が此方を振り替えるのを冷たく目で射殺して……
「す、すみません……。扉とかは普通に開けてました……。」
ヤーデンがすまなさそうに小声で囁く。
「オマエ……不良らしい感じって言ってなかった?」
ギロリと睨むとヤーデンが小さくなって苦笑いする。
「後は大丈夫!後は大丈夫だと思います!」
本当かよ……。
少し、不良度を下げよう。
俺様は声を荒げることなく教室に入り、ヤーデンが先に荷物を置いて誘導してくれた席に座る。
このクラスは席は名前順らしい。
引いた椅子にドカッ!と座って両足をデン!と机に乗っける。
ふっふ~ん♪
「す、すいません……。
やっぱ、不機嫌な公爵令息、位の態度ですかね……。」
小声で囁くヤーデンを、慌てて足を降ろして机に伏せ気味に頬杖ついて睨む。
本気で睨む。
「ヤーデン、オマエさぁ………。
いや、俺が悪かったよ。俺とオマエの不良観がこんなに違うとは……。
で、他は?細かいこともっと確り教えてくれ、
オマエもオマエの上のやつも細部がアバウト過ぎんだよ。
周囲との会話とかは?」
「あ、それは普通にしてましたね。」
「この授業で絡んで来るヤツは?」
「いません。」
ならイケるかな?俺は溜め息ついて、椅子に背を預ける。
ふーぅ、疲れるわ~。
ふ、と横を見ると、大人しそうな令嬢が挙動不審になっていた。怖がらせたかな?
「ご機嫌よう。ゴメンね、令嬢。デカい音立てて。」
「あ、いえ……。」
柔らかい態度に安心したのか令嬢が少しホッとした様子を見せる。
けど、まだキョドキョドしてる。
「その髪飾り似合ってるよ。センスいいね。」
軽く社交辞令を言えば、ガタリ、と近くの男子生徒が立ち上がり此方にズカズカと来る。
「オブシディアン令息、何のつもりです?彼女は俺の婚約者です。」
「…は?……いや、挨拶と社交辞令を交わしただけだろう?」
「それはそうだが……いつもは誰とも話さないじゃないか!」
驚きで目を見開く。
そのままギギギ…とヤーデンの方を向くと、ヤーデンが凄く小さくなっていた。
「確かに……こっちからは話し掛けてなかったですねー…。
聞かれたことに返してただけでしたねー……。」
「聞いたよな?これに関しては、俺、ちゃんと聞いたよな?」
「はい。」
「オマエ、普通にしてたって言ったよな?してたって。」
「はい。」
「流石に腹立つから、ちょっとそこで先生来るまで空気椅子でもしとけよ。」
「はいっ!」
ムンストーン流お仕置きを申し付けると、ヤーデンは少しホッとした顔をしていた。なんでやのん?
俺様は誰だか判らない令嬢令息に向き直る。
「ゴメンな?ほら、さっきちょっと機嫌が悪くて粗暴だったろ?
それで令嬢を怖がらせてしまってるから、
軽く会話して緊張を解くべきだってコイツがしつこく言うもんだから、
そー言うもんかなって思ってさ。
誤解させてしまってすまない。」
そういうと、少し訝しげだったが、納得してくれたらしい。
多分、いつものアレックスじゃないんだろーな。
参ったな。
「ほら、これお詫びに。午後の授業は眠くなりやすいだろう?」
差し出したマンスターに令息の顔が綻ぶ。
「これ、こないだから話題になってる超低級ポーション……。
ありがとう、オブシディアン令息。」
「あ、良かったら……。」
令嬢がそっとマンスターをキリリと冷やしてくれる。
ありがとう。お礼に2人にもストローを付けておいた。
冷えたマンスターを飲んで、ふっ、とリフレッシュする。
もうすぐ、ロッドから木箱と魔石が届くだろう。
明日か明後日には冷えたマンスターをマジックボックスから出せるようになるかな?
その後、授業は特に不審に思われることなく乗り越えられた。
2年生の授業はちんぷんかんぷんかと思ったが、術式学などの基本と被ってる所があるせいか、2割程度は理解できた。
8割は何の事か全く判らなかった。
本当に魔術式と魔法は別物なんだな。
例えるなら英語と数学位違う。
なんて感想を抱いて、空き教室へと無事帰還。
ふーやれやれだ。
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