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後期!
194: 地味令嬢なヤンキーのドキドキハラハラ授業時間。
しおりを挟む昼休み終了十数分前、
フェリシア(アレックス)が旧校舎の薬草学実習室に入り、一番後ろの席に座る。
まだ誰もいない教室にホッと息を吐く。
ーーフェローのノートはルーズリーフ式で、
全ての教科のノートを一冊に纏める方式だ。
シンプルな万年筆も一本付属している。これだけ持ってればノート忘れはしないということか……。ーー
何となくノートを捲ると、フェリシア(アレックス)は片眉をピクリと跳ね上げた。
どうやら全てアーサーのノートを転用したらしく、
やんちゃ坊主を彷彿とさせる奔放な文字が紙面を埋めていたからだ。
ーー全く、面倒臭がりめ。授業を真面目に…
ん?いや、これは……ーー
フェリシア(アレックス)は愕然とした。
何故なら、同じ文字で余白に術式のアイデアメモがあったからだ。
ーーアーサーは、術式学は学んでない。
これは、正真正銘フェローのノートなのか……!ーー
やんちゃで奔放な文字を指でそっと撫でて、複雑な思いを噛み締める。
令嬢がこんな悪筆で良いのか。
いやでも、俺への手紙やメモはそこそこ整った文字だった。きっとノートは気を抜いてるのだ。
いや、ノートは気を抜いては駄目だろう。
俺には丁寧に書いてくれたと思うと嬉しい。
等々、浮かんでは消えていく。
ページを捲っていくと、フリーページらしい箇所に行き当たる。
ソコには、マジックボックス指輪型にするアイデアが記されていた。
「成る程ここは分けて考えるのか……。
俺、授業でここ詰まってたんだが思わぬ解決法が…。
トライ&エラーが全部見れるから、参考書や教授の板書より判りやすい。
流石フェロー、術式学はもうプロだな…。」
「あら?フェリシアさん、今日は早いのね。
いつもはギリギリに来るのに。隣座るねー。」
「!……あ、おはよう。」
ーー誰も居なかったから油断したな。独り言、聞かれてないよな?
後、このご令嬢は何とお呼びすれば良いんだ??ーー
大人しげな令嬢三人組がにこやかに入室してきて隣に座る。
深緑の瞳と、淡いオリーブブラウンの直毛ボブヘアの令嬢が一番フェリシアに積極的に話し掛けてくる人物のようだった。
隣の2人、赤茶のお下げに橙瞳面長ソバカス顔のご令嬢とモカブラウンのお下げに碧眼丸顔眼鏡の令嬢は基本的に相槌専門のようだ。
ーー控えめすぎて御名前が判らない。皆デビュタント前だしな……。ーー
ヒヤヒヤしながら相槌を打つが、どうやら特に怪しまれなかったようでフェリシア(アレックス)はホッと胸を撫で下ろした。
授業を懐かしい気持ちで受け、退室しようとした時に、ふと、フェリシア(アレックス)は窓の外に見慣れた人物を認める。
ーーヤーデン?……と、フェロー!ーー
思わず窓に貼り付いたフェリシア(アレックス)に直毛ボブヘア令嬢が声を掛ける。
「フェリシアさん?どうしたの?……あ、あの方って、不良って有名な二年のオブシディアン様よね…。
ハンサムだけど、いかにも柄の悪そうな方達と一緒にいらっしゃるのね。」
窓の外、アレックスになったフェリシアは、柄の悪そうな二人組に手を振り、にこやかに話し掛けていた。
「おいおい、フェロー……。
俺はそいつらとは友達じゃないぞ?」
ーーいつもニヤニヤと近付いてくるから勘違いしたのかもしれない。ーー
焦りからうっかり独り言ち、それをしっかり直毛ボブヘア令嬢に聞かれてるとも気付かずに、
フェリシア(アレックス)は心配そうに窓の外のアレックス(フェリシア)を見つめた。
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