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後期!

190: 地味令嬢、ヤンキーになる。

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学園の端に位置する練武場へと行くには、空き教室からだと結構な距離を歩かなければならない。

ズカズカとヤンキーらしく大股で進むが、チラチラと生徒の視線があちこちから飛んで来る。

いつもの私は色眼鏡の認識阻害と気配遮断で殆んど人目につかないので、何だかソワソワするが、今は俺様アレックス。

こんな超絶イケメン、そら釘付けになるわな……。

ソワソワを振り切り、擦れ違い様チラチラ見てくる奴等をギロリと視線で射殺しながら進む。

どーよ、このヤンキー感!
俺様ってばワールー♪アハハハハー!

っと、嫌な展開。

新校舎から旧校舎へ続く緑化庭園通路を進んでいると、前から、クーデレメガネ銀髪宰相子息ロンドミオ・トパーズがやって来た。

しかも気付いた。

仕方無いから無視して横を突っ切る!

「アレクサンドロ!見つけたぞ!
 お前、ずっと俺を避けてただろう!?」

アレクサンドロ呼び!敵だ!無視して素通り!
しつこいようなら多少威嚇。心の中で復唱。
うざそうな顔して見向きもしないで横を通り過ぎる。

「待て!何故そう頑なな態度を取るんだ?!俺の話を少しは聞けよ!」

俺、の、は、な、しをきっけぇー♪
頭の中で歌いながら進む。

コイツ、旧校舎まで着いてきた。
まさか練武場まで着いてくるつもりじゃないだろーな?

何だか右やら左やら後ろをチョロチョロしながら
ずーーっとキャンキャン喋り掛けてくる。
マジうっさい。
あーあーきこえなーい!

「おい、アレクサンドロ!おい!聞いてるのか?!」

メガネ銀髪が細い体で前を塞ぐようにして、此方に噛み付くように怒鳴る。
その瞬間、俺様の中に溜まっていたイライラが噴火する。

ダン!!「うぐっ!」ガシャーーン!!!

風魔法で旧校舎の壁に銀髪を叩きつけ、両サイドのガラスを吹き飛ばす。(ガラス割っても魔法ですぐ修復出来る世界って凄いよね。安心して不良ぶれちゃう)
恐怖で立ち竦む銀髪の胸ぐらを掴んで壁に押し付け、威嚇するように喋る。

「うるせーんだよ。話し掛けんじゃねー……。」

……おかしいな、前チラッと見掛けた感じのノリで対応してみたんだけど、
何かスッゴク怯えてらっしゃる……。

もしかしてだけど、
昔流行ったフレーズが頭を過る。

もしかしてだけど、アレックスって、今まで直接手を出したことは無かったんじゃないの?

そんなら、マジごめん。

顔面蒼白でプルプルしている銀髪を、威嚇したままパッと手を離すと、ずるずるとその場にへたり込んだ。

「…ァレクサンドロ……そ、んな…」

信じられないとばかりに掠れた声で呟く銀髪は、
今にも泣きそうで、

ぅゎ、罪悪感。

取り敢えず無言で冷たく見下ろしたまま立ち去った。
後でアレックスに謝っておこう。

どうやら、俺の威嚇とアレックスの威嚇は違うらしいな。
そもそも、敵の概念が違ったのかもしれない。
確か幼馴染みだったし?

取り敢えず、全体的に苛ついてる日っぽく振る舞っておこう。そうしよう。

てことで、野次馬根性丸出しでこっちを見てくる奴等をギロリと睨んで威嚇する。

「……んっ…だテメーら!何見てんだ!」

バッと目を反らす生徒達を一瞥し、スタコラサッサと練武場へ進んだ。


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