本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

後期だ！（まだ始まってない）

156: 地味令嬢は溝鼠と密会する。

そう、溝鼠はキャロ姉にゾッコンなのだ。


初めて気付いたのは、前世を思い出して暫く経った頃、
お姉をベスポジで眺める為にドブに隠れて居る所を見つけたのが始まりで。

ストーカー気質な上にヤンなデレの人っぽかったし、
もうその頃にはお姉の婚約者決まってたから、それ以降、溝鼠と呼んで徹底的にお姉を守ってきた。

お姉と接触出来ないと何するか判らなかったから、適度に会わせたけど、親戚付き合いの範疇を越えないかいつも見張って、溝鼠の息がかかった使用人は1人以外全員排除して、と、番犬ぶりを発揮してきた。

そのせいで、コイツは私を子猫と呼ぶ。

鼠を捕まえるからだそーだ。

溝鼠呼びを意外に気に入っていて、私に手紙を書くときは鼠の尻尾で書いたような、のたくった文字で、便箋を鼠が齧ったみたいに角を千切ってみたり、サインを溝鼠の足跡にしたりしている。

わざわざ溝鼠を捕まえて足跡を採取し、練習して毎回ペンで足跡を書いてるんだから、本当に変人である。


それにしてもムカつくけど、お姉にはホントに申し訳ない。

私は、封筒を手渡した。
溝鼠はその場でビリビリと封筒を開けて中を見る。

「……………ナニコレ。……ホントに？…ぇ、ホントに？
　……良いの？……子猫ちゃぁん……」

「今年だけだからな！変なことは企てるなよ！
　必ず、アーサーとヴィオラが発案して、キャロも誘いたいけどエスコートがな…って事でオマエに声が掛かる体にしろよ。
　まだ婚約者は侯爵ヘンリーなんだから！
　こっちの醜聞は絶対許さない。

　後、そのネチャッとした外見とニチャァっとした喋りも何とかして。
　あっちのヘンリーより少しでも見劣りしたら許さないよ。」

溝鼠に負けず劣らず捲し立てる。

「予算上限金貨5枚かぁ。うん。３日遅れた慰謝料としては、十分。
　ありがとうね。キャロを完璧にエスコートしてみせるよ。」

「お姉はマカロンすら食べたこと無かったんだ……。
　プレゼントと美味しいもの、綺麗なもので生き埋めになる位にしちゃって。」

それもこれも、
私が溝鼠を近付けなかったせいかと思うと胸がツキツキと痛む。

ふわっとビター過ぎる匂いがしたと思ったら、溝鼠に優しく抱き締められて頭をポンポンされる。

「そんな顔しないで子猫ちゃぁん。
　悔しいけど、君の判断は正しかったよ。

　婚約者は家柄も良いし真面目で見目も良いし、俺は危険だ。
　君が居なきゃ今頃無理矢理既成事実作って拉致監禁して孕ませて、
　キャロの魂が手に入らないと嘆いて無理心中してたさ。」

「………は？オマエ何言って…離せ！ヤッパ無し！キャロに近づ…むぐ！ムガーー！！」

「やだなぁ、例えばだよ。これでも君に大分矯正されて、キャロが幸せな顔で笑ってないと意味ないなーって思う様になったんだよ？？
　ほら、落ち着いてー♪子猫ちゃぁん、落ち着いてー♪」

離せともがくも全然出れない。

アレックスと過ごしたから判る。コイツ結構強かったんだな！？
道理で角材でボカスカ殴っても平気な顔して翌日又来るハズだよ。

狂暴女？チガウヨ？

角材で殴って、やっとちょっとイテテ…仕方ないな…って帰ってくれてたんだよ？

角材ないと対抗出来ないフェリたん、めっちゃか弱い。

今だって、魔力の塊でガスガス殴ってるのに全然効果ない。

風魔法はキャンセルされる。


うぇーーんアレックスぅー！