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後期だ!(まだ始まってない)
125: 地味令嬢とヤンキーの美味しい時間は終わり、今日は俺も楽しめた、と給仕は独白する。
しおりを挟むサーペントを美味しく食べた後は、
ちょっと口の中でパチパチ弾けるベリーのソルベを食べて、
メインのなんちゃら羊のナントカ葉包み焼きを頬張り、数種のチーズを齧る。
チーズも、次のデザートも、給仕が見本を持ってきて選ばせる形式で、アーサーはきっとマゴマゴするだろうな、なんて、ふと思いながら、選んだ。
正直言って、このディナーは私達伯爵家身分には、レベルアップのお祝いというより、一世一代のプロポーズのディナーである。
ここってお幾らなんだろう。
アーサーが頑張ってイケそうなら、ヴィオラちゃんにプロポーズする際には此処を薦めても良いかもしれない。
って、
アレックスに連れて来てもらって、こんな事を考えるのは失礼だったりするのかな?
チラリとアレックスを見れば、水を飲もうとしていた手を止め、にっこり笑う。
「美味かったか?」
「はい。とっても美味しかったです。」
会話を邪魔しない絶妙なタイミングでサーブされるマカロンやフィナンシェ、ケーキ、エスプレッソとチョコトリフを楽しみながら、アレックスといろんな事を話した。
後期になればどんなことを習う、だとか、何が必要、とか。
遠国の同盟国同士の婚約破棄が、この近隣諸国にどんな影響を及ぼすか、とか、
隣国発祥の超低級ポーションに最近、我が国からライバル商品が出たらしい…。とか。
食べ終った後も、少し寛いで喋る。
気がつけば空に星が瞬いていて。
前世ではべたっとした濃紺に時々星が見えるだけだった空は、
天の川だろうか?ハッキリ見えるせいで、濃紺にムラがあり、
白っぽく帯状に輝くそれは確かにミルキーなウェイだった。
領地でも空は綺麗だと何度も眺めたけれど、
こういう風に都会のど真ん中で見上げると、確かに此処は第2の人生なんだと感じる。
雲に反射する都会の明かりもなく、本当の闇夜と鬱蒼とした森林に囲まれた世界。
飛行機の変わりにドラゴンが飛び交う。
……全く、随分遠くに来たもんだ。
アレックスにエスコートされて、腹ごなしに少し庭園を散歩してから退店する。
アレックスに、何度も此処に来たことがあるのかと問えば、家が利用したことや、どこかの家の食事会などで来た事があるが、二人で貸し切ったのは初めてだと言われた。
「フェリシアはこういう植物が好きだろう?
だから、気に入るだろうと思って。」
セロームみたいな大きな葉をツンツンとつつきながらアレックスが言い、
思わず喜びで身を捩り、アレックスの腕にそっと額を擦り付ける。
「ありがとうございます。……御馳走様でした。」
顔がみれなくて、そのまま呟くと、そっと頭頂部にキスをされた気配がした。
ゆるゆる店を出れば、高級そうな辻馬車が店の前で待機しており、あっという間に学園へと運ばれる。
食後は普通に歩いてたので油断してたら、下車後にまたお姫様抱っこされてしまった。
過保護だなぁ、なんて苦笑いしながらも、
満更ではないのでアレックスの首に腕を絡ませ、頬に何度もキスをする。
耳を齧ったら、落とされちゃうかな?
なんて考えてたら、深く口付けられて、あっという間にトロトロに蕩けさせられる。
いつもの甘ーい長いキスと違って、少し、私の思考を奪おうとする意図を感じるキスを不思議に思いつつ、ふわふわと私は運ばれて行った。
キスしながら歩けるなんて、本当器用だよね。
マルチタスクな人って尊敬するわー。
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