本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

夏休み領地篇

95: 地味令嬢はピクニックでヤンキー隠者に提案する。

はい！
そんな朝から、
だーっと着替えて御飯食べて皆と合流して湖で遊んで、今はお昼デェス！

午前中は、王子がボート遊びを嗜んでる横を、
馬鹿三兄妹で小舟と縄とその辺の板切れでジェットスキーにしてブンブン走り回り、ちょっとコース取り間違って王子に盛大に水飛沫掛けたり、

水面から飛び出てた流木に縄が引っ掛かって三人盛大に吹っ飛ばされたり、

その流木を、邪魔だから潜って手分けして粉砕し、これで安全とニコニコ顔で浮上したら王子の護衛二人が湖に飛び込んで私らを探していたり…。

イベントが盛り沢山でした☆


水も滴る美青年、美丈夫、美ショタx2を拝めたから後悔はしていない

現在、お弁当のサンドイッチを沢山食べて、眠くなったアーサーとお姉が近くの木陰でお昼寝中。
テリー君と王子と黒騎士が湖の周りを散策中、
私とアレックスが荷物番でっす。

「炭酸水、飲むだろう？」

相変わらず知らない人に見えるアレックスが、マジックボックスからキンキンに冷えたノンアルモヒートを出してくれる。

有り難く頂戴して、もう会話しても大丈夫と判断する。

コツを掴んできた。
顔と声以外に集中すれば、アレックスだと思える。
例えば手、仕草、そして少しウッディなグリーンノートの香り。

「ありがとうございます。夕べは、ごめんなさい。
　折角、会いに来てくれたのに。」

「気にするな。込み入った話をしていたんだろ…？
　少しだが、泣き声が三人分聞こえた。
　………酒は、飲んでなかったんだよな？」

あれを聞かれたのか。

きゅーーっと顔が赤くなる。

確か、でかい声でアーサーが二人とも大事な妹だーー！とか言って、
わーんアーサー！お兄ちゃーんとか、私とお姉が泣きながらアーサーに抱き着いて、
三人でわんわん泣きながらごめんね合戦をした記憶がある。

恥ずかしくて記憶の彼方に追いやったんだけど、別に酔ってた訳じゃないから、普通にクリアに思い出せてしまう。

「まぁ、強いて言うなら、砂糖と夜中の空気に酔ってたかもしれません……。」

「そうか…。」

珍獣を見る目で見ないで！

「所で、学生寮って夏休みも開いてるし、別にいつ入寮しても問題無いんですよね？
　課題の資料まとめとか、図書館を使うので、早めに学園に戻ろうと思うんです。
　５日前と１０日前、どっちが良いと思います？」

そうさ、別に図書館なんか使わない。
アレックスとイチャイチャしたいから早めに戻りたいんです。
もしかしたらおうちのお手伝いとかあるかもだから、予定を聞いてるんです。
私は自分から誘っちゃう系なんです。

アレックスが、チラッとこっちを見た後、少し考えてから口を開く。

「後期になると魔法の実践やら実験、
　色々と実技が増えて来るから予習が大事だと思う。
　2週間前に学園に戻れば、学園に残っている先輩やら研究生なんかに色々教えて貰えるんじゃないか？
　簡単な講座を開いて判らない所を教えてくれる先輩もいるらしいぞ。」

「へぇ、凄い親切な先輩ですね。誰ですか？」

「どこぞの公爵家の三男だとか…。」

「やだぁ、その人、学園で有名な不良じゃないですか。」

「まぁ、実際、貧乏男爵の秀才なんかが小遣い稼ぎに講座を開いてるのは確かだ。」

そーなんだ。皆色々小遣い稼ぎ頑張ってるなぁ。
じゃぁ、決まりかな。って、頭の中でカレンダーをめくる。
あれ？二週間後って、ここから学園まで馬車で3日だから……

「…二週間後って、もう、明日か明後日に此処を出なきゃじゃないですか！」

「…そういえば、明日、王子を乗せた馬車が王都に帰るらしいぞ。」

えっ！？乗せて貰えってこと！？畏れ多すぎない？？

等と焦る私を置いて、
アレックスはボートに乗るという王子の警護にさっさと行ってしまった。

仕方ないので一人お茶を飲む。

目の前の湖はキラキラと光を反射して、

泳いだらとても気持ち良さそうだった。