88 / 354
夏休み領地篇
89: 地味令嬢とワンコ達の隠せない隠し事。
しおりを挟む和やか、というよりは賑やかというか、
騒がしい(主に兄妹が)お茶会が終わり、腹ごなしに少し庭を歩く。
と、前庭の方に行き着いてしまった。
いや、客人がこちらに誘導した感があるな。
「わぁ、これはまた……。」
黒騎士の嬉しそうな声に、庭師のケヴィンが手を止め私をめっっっっちゃ睨む。ゴメンて!!
「昨日、庭に鬼女が出て暴れたそうです。
何でも、鬼女の大切なものが盗まれたとか…。
でも、父と兄を筆頭に屋敷の者全員で掃討に当たったので今は安全ですわ。
ご安心下さい。」
「それはそれは……大変でしたね。プフッ失礼。フフッ」
黒騎士意外と笑い上戸だった。
何だか嬉しそうに、庭の爪痕を触ったり眺めたりしてる。
「でも、鬼女は大切なものを取り返せたみたいで良かったです。」
王子が笑って言う。何だ、詳細知ってるんだ。
まぁ、お姉、喋ってよし!って言ってたもんなぁ。
「そうですね。親切な方のお陰で。
…本当にありがとうございました。」
目を伏せて、誰にいうでもなくお礼を言えば、アレックスがふっと笑う気配がした。
「お恥ずかしいです。何があったか皆さんご存知なんですね…。」
アーサーがへんにゃりと苦笑いをして言う。
「そんな入手が難しい高価なものだとは思ってなかったのでしょう?
女性の物は何でもないような振りして目が飛び出る程希少だったりしますからね。
触らないのが吉ですよ。
……ま、今回で懲り懲りでしょうけど。
ははは。まぁ、暫くは噂されるでしょうが、
皆そう悪くは言ってないですよ。ハハハハ…。」
「フフフッ。謝っても許されない事があるとか、
誰にでも我慢の限界があると云う事を、
この程度の痛みで学べたのは、貴重だと思いますよ。
仲の良い兄妹って良いですねぇ。
黙って破滅を仕組まれたりする兄弟もいるって云うのに、
面と向かって教えてくれるんですから♪ね?」
「……俺は、そもそも実の妹とはいえ、乙女の秘密の花園に気軽に出入りするのは控えるべきだと思いますね。
妹君はもう立派なレディです。
婚約者や恋人以外には見せるべきではないモノもあるでしょうに。」
「レックスは厳しいな。ねぇ、そう思わない?レオンハルト。」
「俺は当然の事を言ってるだけですよ。
うっかり部屋着姿を見てしまった、とかも有るかもしれないでしょう?」
アレックスが危惧してるのは、私の下着姿や、部屋着の露出の高さだろうな……。
い、言えない。
あの部屋着でほぼ毎晩兄妹でお茶してるとか、何なら気にせず肩とか脚とか触られた事あるけど、アーサーガチ気にしてないからこっちも気にしてない、とか、こないだ下着姿の時に部屋に乗り込まれかけた、とか。
言えない…。
チラッと横見たら、アーサーもお姉も『言えない…。』って顔してた。
目深のローブと認識阻害で見えないアレックスの眉が、思いっきりしかめられたのが判った。
まっずー。
「あはは!凄いね!三つ子みたいだよ。
君達三人、本当に仲良いんだねー!」
三兄妹が揃ってそわそわしてるのを、王子と黒騎士が笑う。
「「「今不在なだけで、
ラインハルトも合わせて4人仲良いですよ?」」」
思わず3人声が揃う。
ふ、と、丁度やってきたテリーと王子が意外そうな顔をした気がした。
12
お気に入りに追加
2,298
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる