上 下
83 / 354
夏休み領地篇

83: 地味令嬢の知らない何処かの一室。門番は束の間休息する。

しおりを挟む


「ん?何だか外が騒がしいな。
 こんな時間に速駆けとは、何か有ったのかもしれん。
 様子を見てくるか……いや、向こうから来たか。」

……コツ、コツ、コッ…コンコン
「夜分申し訳ありません…。」

「構わん、入れ。何だ、何か有ったか?
 ……何?ムンストーン家から?
 ………………プッ…何だそりゃ。
 こんな時間に馬を飛ばした理由が兄妹喧嘩とは、随分と平和じゃないか。」

「おい、アレクサンドロ!
 お前日焼け抜きの魔法薬なんざ持ってないよな?
 何でも、ムンストーンの嫡男が妹の魔法薬を勝手に使ったのがバレて、
 今晩中に要ると、妹が屋敷が壊れる程暴れてるらしい。
 お礼するから持ってたら譲って下さい、だとよ。
 魔法薬って高いんだろ?
 ぇ?小金貨3枚?
 へー。流石、値が張るなぁ。
 そりゃ、そんなもん勝手に部屋漁って使われたんじゃ怒るよなぁ。
 ん?あー、俺も話したことあるよ。
 のほほーんとして、うんうん、確かに。
 拘らない、良い奴だよな。
 ははっ!そーだな。あいつの事だ、なーんも考えずに使って、忘れて、今頃ほとほと困ってるんだろうな。
 ははっ、そーなのか。大変だなぁ…。
 ああ、気にするな、お休みなさい。」

……キィ…パタン

「王都ならいざ知らず、この辺じゃ常備してるヤツも居ないだろうから難儀してるらしい。
 嫡男だけじゃなく、使用人総出で聞き回ってるらしいぞ。
 まぁ、近いとは言え、隣の辺境伯領まで聞きにくる位だもんなぁ。
 ……ん?アレクサンドロ、どうかしたのか?」

「いや、ちょっと。
 ……ムンストーンは二人とも妹だが…、…このタイミングはやっぱり…。
 …おい、いるか。」「はっ!ここに。」

「ぅゎ!アレクサンドロ!いきなり影を呼ぶなよ……心臓に悪いぞ。」

「スマン、レオンハルト。
 …おい、日焼け抜きの魔法薬、今夜中に手に入れれるか?」

「は、お望みであれば。何件か伝手はあります。」

「じゃぁ、頼む。」

「何種類かございますが、如何なさいましょう。
 金貨1枚程の飲み薬と、塗り薬が三種ほど。
 …一般的なのは小金貨3枚程度の塗り薬ですが。」

「おい、伯爵家嫡男と云えども、あののほほん男に金貨1枚は厳しいんじゃないか?謝礼も考えると…。」

「いや、金は受け取らなくて良い。俺の名前も出すな。
 …………………ん。このカードを添えて渡してくれ。
 そうだな、手に入るなら、塗り薬を念の為2個。
 飲み薬って塗り薬より効くのか?……ふーん。
 じゃぁ、飲み薬も1本届けてやってくれ。
 レディに夜更かしは辛いだろうから、なるだけ急いでやってくれ。」「御意に。」

「何だよ、随分と優しいじゃないか。ムンストーン令息と知り合いだったか?」

「別に。良いだろ。」



「……ふぅ~ん?」

「んだよ、ニヤニヤすんな!クソッ!
 だから相部屋は嫌なんだ。従兄弟だからって勝手に同室にしやがって!糞親父め。」



しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

処理中です...