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夏休み領地篇
81: 地味令嬢の咆哮、門番は庭師を止め、降り注ぐ鎌鼬に戦慄する
しおりを挟むもう、ブチギレ♡
「はぁぁぁぁあああ!??アンタ馬鹿!!??
どう考えたって、日焼け抜き優先されんのは婚約者決まってない方でしょうがよ!!
売約済み商品綺麗にして店頭の商品汚してたら、
店頭の商品売れ残るでしょ!??
日焼け抜いてやりたかったら、普通に自分でヴィオラ嬢に買ってやりゃぁ良かったじゃん!
何で私のをわざわざ盗ったのよ!!
その辺にポイッと置いといたならまだしも、ちゃんとしまってたのを!ワザワザさぁ!!」
「売れ残るってお前、何だ?婚約したい人でも出来たのk」「そーいうこと言ってんじゃねーーー!!!」
バリバリバリーー!!
とんちんかんに口を挟んできた父の一言に怒りが庭で爆発する。
楠の太い枝が裂け、鎌鼬が連続で刺さる楠が
シェイクシェイク♪シェイクシェイク♪とダンスでも踊っているかのように枝を震わす。
その様を密かに外で、門番のポールと庭師のケヴィンがガクブルしながら見詰めているが、そんなことを知るはずもなく私は猛る。
「何だよ、デートしたい相手でも出k」「いい加減にしなさい!!!!!」
相変わらず人の神経を逆撫でする事を言い掛けたアーサーを制し、
ずっと黙っていたキャロリエンが声を張上げる。
いつも陽気で穏和なキャロリエンの怒気を孕んだ声にリビングが静まり返る。
「いい加減にしてよ!さっきから聞いてたら、
明らかに悪いのはアーサーじゃない!
何でフェリシアを怒るの!?
何でフェリシアに我慢させようとするの??
普通に他家のお嬢さんだったらどう??
何としてでも日焼け抜きを手に入れて詫びてる筈でしょ??
フェリシアはそれを求めてるの。
それの何処が悪いの??当然の要求でしょ??
ほら、メイド達はありったけのランタン持ってきて着けて!
夜道を馬で走らなきゃなんだから!
執事たちは手分けして日焼け抜き持ってそうな家に聞いてきて!
事情聞かれたらアーサーのアホ行動話して良いわよ!
自業自得なんだし。
お金もね、アーサーに払わせるんだから相手の言い値で、後日払うって約束だけして、日焼け抜きあったら取り敢えず急いで持って帰ってきて!
ほら!動け!動け!」
テキパキと指示をしてからキッ!と父を睨み付ける。
背後で執事やメイド、侍女達がワタワタと動き出す。
「大体、お父様がいっつもそーやってアーサーを甘やかすからアーサーが此処まで無神経に育つのよ!
まるで私達の私物も自分の私物みたいな感覚じゃない。
嫡男だからっていつも融通効かせるからよ!
フェリシアがじぶんのお金貯めて大切に保管してた、たっかい魔法薬よ??
それを身内が盗んだってのに、『何故もっと早く確認しない』だぁ??
身内に泥棒が居るとは思わないもの、当然でしょ??
ちゃんと使うときの為に準備をしてたのはフェリ!
その時の思い付きで盗んだのはアーサー!
責任取らなきゃいけないのはフェリじゃなくてアーサーよ!」
「泥棒、泥棒って、…借りただけじゃないか。キャロ。」
「アンタねぇ。返してないんだから、もうこれは盗みよ。
それと、何か気軽に使ってるけど、あれ、金貨何枚すると思ってんのよ…。」
借りただけと言うアーサーにキャロ姉が低く呟く。
その発言に、えっ!?と男二人の顔が歪む。
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