61 / 354
地味すぎる転生悪役令嬢爆誕
61: 地味令嬢の記念とヤンキーのタイムリミット
しおりを挟む似顔絵コーナーに行くと、アレックスが空いてる画家から生真面目そうな格好をした男性を選んだ。
私は、少しカジュアルな服装の、遊び人芸術家って感じの男性を指名する。
アレックスも画家達も驚いていた。
「だって、二枚描いて貰う時間は無いけど、お互い1枚ずつ欲しいじゃないですか。こうすれば、2枚手に入るでしょ?」
笑って言えば、少し眉を下げた笑顔が返ってきた。
10分程座ってポーズを取り、描いて貰う。
アレックスが選んだ画家は、仲良さげに寄り添う笑顔の私達を描いてくれた。
栗色の緩やかなウェーブの髪を持つお嬢さんと少し生意気そうな騎士見習い。
でも、やっぱり、その表情は私とアレックスだった。
精密なタッチで、色も短時間なりにしっかりと彩色されている。
一方、私が選んだ画家は、少しクロッキーに近い荒めのタッチで、彩色も的確だがざっくりとした塗り方だった。
絵はベンチでポーズをとっていたのとは違う、楽しそうにアレックスを見詰め、笑っている私と、私を愛おしそうに見詰めながら、髪を1房、背中に戻そうとしているアレックスの姿だった。
勿論、平民ボンボンカップルの姿だが、やっぱり、仕草や眉の上げ方、私を見詰める表情なんかはアレックスそのものだった。
どちらの絵も、憧れているという理由をつけて瞳の色をアメジストとアクアマリンにして貰ったので、余計にそう思うのかもしれないが。
というか、この人めっちゃ上手い!
お会計の時、アレックスが私の分も払おうとしたが断り、銀貨3枚を払う。
そして絵をアレックスに渡し、プレゼントし合う形にした。
そんなやり取りを尻目に、遊び人風画家は私とアレックスのバストアップをクロッキーし、銀貨2枚で売るというので即購入した。
アレックスの方の画家も同じく銀貨2枚でクロッキーを売り付けていた。
商売上手め。嬉しいじゃないか。
ほくほく顔で庭園を後にし、お昼は近くのカフェで摂る。
田舎風グリル料理の店で、野鳥と小さな葉付人参やラデッシュ、薄切りの紅大根等がスパイシーにグリルされたプレートに舌鼓を打ち、色とりどりの花びらやオレンジピールが沢山入ったハーブティを楽しむ。
アレックスが時計を確認する。
デザートの、お花が閉じ込められたゼリーを食べ、退店。
また、アレックスが時計を確認する。
これ、もしかして、ギリギリまで一緒にいようとしてない??
「アレックス様、そろそろお時間なのでは?」
「そうなんだ。すまない……。」
そう言って私の指先に口付け、そのままアレックスの頬に当て、掌に頬擦りされた。
マジびびる。
キュンじゃなく、ドキューンってしたろ!
ドギマギした心を抑えつけ、歩く。
近くの馬商で私用に馬車、アレックス用に馬を借りているらしい。馬車までエスコートしてくれるって。わーい。
………あれかな?
何か馬丁が立派な馬と一緒に通りに出てソワソワキョロキョロしてる。
明らかにオしてます!!
ケツカッチンですよ!アレックス様!!
急ぎたいのに、アレックス様全然急がない。
寧ろめっちゃ名残惜しみよる。
しかも、馬丁無視して、同じくソワソワして待ってる御者に声懸けて私を馬車に丁寧に乗せてくれる。
あああ……ぃぃ急ご!馬丁引き攣っちょる!
取り敢えず、なるはやでチューして、用事頑張ってね!学生なのにお家のご用事頑張るアレックス様素敵スギ!ソコに痺れる憧れルゥ!と褒め称えて御者にとっとと馬車を出してもらった。
アレックスから私が見えないようにそおっと隙間から覗いたら、馬車が出てちょっとしてもアレックスはこっちを見送ってた。
紳士だけど!今は急いで!
あ、寧ろ馬丁と馬がアレックスに駆け寄ってるわ。
ほっと一息ついて座席に座り込む。
ふぅー。
ダカカッ…ダカカッ!
ダカカッ!ダカカッ!
ダカカッ!「ヘァァ!!」
ダカカッ!ダカカッ!
ダカカッ……
すんごい勢いで馬が近づいてきて、少し後ろで右手の道に逸れていった。
アレックス、乗馬も上手いんだー。
流石公爵家、あんな速駆け初めてみたわー。
御者に、学園近くの商店前で下ろしてもらい、夕飯に食べるものを購入して寮に戻った。
久しぶりの一人行動は、なんだかちょっとスースーした。
16
お気に入りに追加
2,298
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる