58 / 354
地味すぎる転生悪役令嬢爆誕
58: 寝坊助地味令嬢とヤンキーの二度寝。
しおりを挟むアレックスに、起きて、と言われた気がした。
もう朝だと。
衣擦れ、リネンの肌触り、
滑らかで弾力のあるふかふか。
…温かい。
穏やかな鼓動。
少しウッディな……グリーンノート。
ベルガモット、 シダー、 少しサンダルウッド?
……私は、こんなの持ってない。
ふ、と目が覚める。
朝の光が室内を淡く照らす。
ツヤッツヤの素肌に、黒い革紐、
小さな宝石が一つ嵌まった、くすんだドッグタグ、
白のリネンシャツ、視線を上げれば、喉仏。
どうやら、アレックスの胸に抱かれて眠っていたようだ。
そっと、身を起こすと、アレックスが仰向けになる。
すぅすぅと穏やかな寝息が聞こえる。
端正な寝顔に、暫し見惚れる。
これは、貴重。
でも、今何時だろ?
アレックスを起こさないように静かに伸びをして、目覚ましを見る。
8時半。
まだ早朝ね。
自分がベロアのルームウェアではなく下着姿で寝てた事に気付く。
昨日、あのまま寝ちゃったんだ。
クリンナップはしてくれてるみたいだけど、やっぱり、シャワーを浴びて寝間着に着替えてから寝ないと、どっか疲れが取れない気がするよねー。
ほゎゎ。と欠伸して、アレックスのシャツが昨日と違うことに気付く。
夜帰って、朝来たのかな?
そーいえば、起きてって言われた気がする。
「……ん。……?…」
もぞっと動いて、アレックスが起きた。
男性的な大きな手が、私を探すようにシーツを滑る。
それが何だか嬉しくて、クスクス笑いながら再びアレックスの腕の中に還る。
「おはよう、フェリシア。」
幸せで堪らない、といった顔で笑うアレックスに、こっちも幸せで、堪らずキスをする。
いつもの、長く甘ーいキス。
唇を互いに啄んで、クスクス笑って、舌を絡めて。
やっぱり、アレックスは夜帰って、朝、東屋に私が来なかったので起こしに来たらしい。
そして、起きない私に付き合って横になった筈がいつの間にか寝入ってしまった、と。
ようこそ、自堕落な世界へ。
二度寝は最高でしょう?と言うと、笑って鼻をギュッと摘ままれた。
今日は、アレックスはお家の用事があるらしく、訓練が出来ず、夕食も共に出来ない。
と、凄く凄くすごーーく残念そうに言われた。
夕食はともかく、訓練は連日だとちょっと疲労が激しいのでお休みはありがたい。
夕食は、少し寂しく感じてしまう自分に気付く。
出会って一週間、脅迫から始まった関係だというのに、何だか随分依存しちゃってない?
朝食をココで食べ、王都内をお散歩デートしよう(意訳)との事だったので、ちょっと失礼してシャワーを浴びる。
何かお茶を淹れてくれそうだからチョッパヤで浴びよう!チョッパヤで!
アレックスがお茶淹れる姿は大好き過ぎるので見逃したくない。
カーディガンをひっ掴んだ私はバスルームに飛び込み、下着をべべッと洗濯かごにシュートして頭から水を被る。
早くお湯になれ!と思うものの、お湯になるまえに全て洗い上がってしまい、バスルームを出る。
昨日シャワーしてなかったから頭はお湯で洗いたかったけど、まぁ、クリンナップするし良いか。
急ぐのでタオルを使わずクリンナップで水気を全部吹っ飛ばす。
モコモコカーディガンを羽織り、クローゼットに入る。
あ、昨日の荷物。
取り敢えず一個開けてみた。
ユニコーンカラーが可愛いガラスケースのボディパウダーに、可愛いパフ。
ルームフレグランス?
これは……!
他のも開けてみた。
全部、一昨々日アレックスと入った店で、近いうちに来店して買おうと思った商品だった。
一体いつの間に!??
あ、でも急がなきゃ!アレックスがお茶淹れちゃう!
慌てて、ユニコーンカラーのオーガンジーがチュチュみたいで可愛いパニエショーツを履き、お揃いのブラを着ける。
キャンディカラーのバラの飾りと結ばず垂らしたリボン、金の星形の刺繍飾りが可愛いセットに、
お揃いの白のガーターレスストッキングを履いて、ワンピースを上から被って、コロンを振って部屋に戻る。
お湯が沸きかけ!セーフ!
「アレックス様、沢山プレゼントありがとうございます。」
ピクッとした後、こっちを向かないアレックスの背中に、
あんなのいつの間に手配してたんですか?全然気付かなかったです。と続ける。
アレックスの耳とうなじが赤い。
そーーっと立ち位置をずらし、横顔を伺う。
はにかみながらお茶を淹れるアレックスは、めちゃめちゃカッコ可愛くて、キュンキュンしてしまった。
22
お気に入りに追加
2,299
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる