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地味すぎる転生悪役令嬢爆誕
24: 怠惰な地味令嬢とヤンキー執事。
しおりを挟む次に目が覚めたのは、使い慣れたティファニーブルーのリネンの上だった。
コポコポと音がする方を見ると、アレックスがキッチンでお茶を淹れていた。
もっとダラけた感じで淹れそうなのに、背筋もピンとして、有能な執事めいた雰囲気がある。
「ん。起きたのか。おはよう。キッチン勝手に借りたぞ。」
振り返ったアレックスは羽織っただけのシャツに乱れた髪を片方だけ掻き上げてあり、テキパキとポットにティーコゼーを被せたり、使ったミトンや紅茶缶を元に戻している洗練された動きとのギャップが超エロかった。
何かね、若き有能執事とイタシた後に、身繕いもソコソコに我が儘言ってお茶淹れて貰ってる、みたいなさぁ。
妄想が捗っちゃう。
爺さんとおっさんしか居ないうちの屋敷ではあり得ないシュチュ♪
「おい、シュガーポットが見当たらないぞ。」
「ぁ、すみません、来客を想定してなくて、まだ用意してなかったです……。」
言われて我に返る。
謝ると呆れた顔でこっちを見てくる。
ヤンキーの癖に一式ちゃんと用意するんだ?
寮は使用人いないから全部セルフなのに?
これだからお育ち良い人は……
尊敬しちゃう。
「冷蔵庫に牛乳とレモ…ライムか。と、炭酸水…?
そして、クリーマーも無い。……紅茶もコーヒーもブラック派なのか?」
「凄ーい!名探偵ですね♪」
ぶつぶつ言いながらお茶の用意をする姿に、ちゃんと揃えてたら完璧なティーセットを作って貰えたのか、と少し後悔する。
若き有能執事(口悪い)とか、はぁーん♪憧れシュチュやのにー!
「まぁ、俺も紅茶コーヒー共にブラックだから良いんだけどよ。」
備え付けのワゴンに、ポットや何やかやを載せ、アレックスがテーブルに持ってきたので、私もベッドから出る。
少し考えて、下着姿の上から白のふわふわファー風カーディガンを羽織る。
毛足の長い毛羽だった糸で軽く編んであるのでモコモコしてるけど暑くはない。
夏でも涼しいこの国の気候ピッタリにして、往年の銀幕女優の気分にさせてくれる逸品である。
勿論、足元は羽根つきミュール!前回学んだので予備をベッド脇に置いていたのさ!
アレックスに一人掛けソファを勧め、私は机の方から持ってきた、座面が白のファーで覆われたチェアに座る。
毛足の方向で色を変えるふこふこグレーのカーペットにコロンとしたフォルムのティファニーブルーと金鋲の一人掛けソファ。
ゴールドにペイントされた丸テーブルに、ティファニーブルーのトレイとカトラリー。
白地にライムイエローとスカイブルーの大柄ストライプの壁にライムイエローの天井、キャンディカラーのぼんぼりが集まったようなシャンデリア。
私の好きな物を集めた部屋の中で、シャツをはだけた金髪ヤンキーは異質なはずなのに、イケメンなせいか妙に馴染んでしまっているのが可笑しい。
まるで、前世の雑誌に載ってたブランド広告のひとつみたい。
思わず笑ってしまうと、紙袋をガサガサしていたアレックスが片眉を上げてこっちを見る。
「自分の部屋に男の人と二人きりで居るのなんて初めてで、ちょっと恥ずかしくて。」
胸はだけたイケメンだしね。
こっちも下着姿だしね。
「まぁ、そうだな。俺も貴族令嬢とは初めてだ。」
そう言って、言われて意識したのか急に顔を赤くする。
話題を変えたいのか、慌ただしくバケットサンドを2つ皿に載せるとこちらに置く。
凄いよねー。サンドなのに、ナプキンとナイフとフォークも皿の横に置かれてるよー。
「夕食に出れる状態じゃないだろ。簡単な物で悪ぃけど。」
そう言って、自分の分も皿に出し、食べ始めるのかと思ったら紅茶を注いでくれた。ゎーーぉ。
尚、私は座ってから今まで何したかと言うと、スカイブルーのクッションを背中から膝の上に置いてみて、やっぱり背中に戻しただけである。
気にしてないみたいだから有り難く流れに身を任せる。
バケットサンドは、私が寝てる間に食堂で頼んだのだろうか。
サーモンとエビとアボカドのサンドイッチと、分厚いローストビーフとレッドオニオンとレタスのサンドイッチの様だ。
美味しそう。
途端にお腹がキュルキュルと音を立てる。
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