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111: 不届き者、吹き飛ぶ。
しおりを挟む「なんだって!?運命の番様に害するつもりか!不届き者め!!」
「なんですって!?このモカがイオンウーウァ様には指一本触れさせないわ!」
「何!?我が愛しの番だけでなく、バドワイザの大事な番にまで手を出すつもりか!!不届き者め!!」
「テ、テルだけに闘わせないよ!」
「何だって!??僕の可愛いウーァを傷付ける不届き者は許さないぞ!ギャォウウウ!!」
それはまるでドミノ倒しの様に、テニーの声に反応したモカが牙を剥いて威嚇し、ラミテルがその言葉に次期伯爵夫人を守らねばと殺気立ち、釣られてレモンドも拳を構え、ラートンがイオンウーウァを守ろうと部分獣化して毛を逆立てて威嚇する。
「「「「ちゅがいさまは、わたちたちがまもる!!」」」」
「えっ??!」
腹黒テニーのミスリードと仲間意識が強いアナグマ族の為せる技で、あっという間に幼年幼女まで牙を剥き毛を逆立てて一丸となって威嚇する。
その迫力にレオベルは思わず怯んで足を止めた。
獅子は百獣の王などと言うが、自然界のライオンも、ラーテルにビビったりチワワにビビったりバッファローの群れにビビったり雷にビビったり………etc.
怖いものは怖い。予想外に威嚇されるとビビる。
というか、普段脅かされる事が少ない為に、そういった事態に陥った時、下手すれば小動物よりビビり散らす。
百獣の王とか格好つけていても、獅子獣人もそんなものだった。
「「「「ふとろきもの!!」」」」
次期当主の運命の番を害そうとしたことにされてしまったレオベルは、驚いて目の前の小さなレディとナイト達を見下ろす。
フリフリのリボンとレースの塊と半ズボンサスペンダーの仔アナグマがフーフーと威嚇している。
その幼さと体面の悪さにレオベルは非常に焦った。
「…ぃや、違、ちょ、おま「成敗!!!」ンギュィッ!!」
レモンドにいちゃもんつけてちょっと綺麗な礼服を汚したり髪でも乱してやろうと思って近付いたレオベルはあっという間に大事になり、慌てて弁明しようと思うが、レモンドを虐めようと思っただけです、とも言えずどうしたものかと一歩踏み出してレモンドに怒鳴りつけようとしたのだが、それがいけなかった。
次の瞬間、ラミテル嬢の顔しか見えなくなり、レオベルは閃光と灼熱を額に感じ、浮遊感と風を感じ、衝撃と共に意識を手放した。
一歩踏み出したのを攻撃と判断され、一気に間合いを詰めたラミテルに頭突きで吹っ飛ばされ、休憩用のテーブルに突っ込んだのだ。
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