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50: 番、鮎の塩焼きに感激。
しおりを挟む「ラァト!凄くしょっぱい!このキラキラパリパリしてるのお塩の塊だわ!でも美味しい!何だか唇が痺れちゃう~☆」
「人族ってのは…鮎の塩焼き頭からまるごと食べるんですかぃ…大型獣人並なんすね…。まぁ、儂らも全部食べちゃいやすが…。」
名物の川魚、鮎の塩焼きを頭からボリボリと頬張り、キラキラした結晶になって張り付いた塩にキュッ!と唇を固くするイオンウーウァを、屋台のカワウソ獣人の店主が感心した顔で眺めて言う。
ラートンはそんなイオンウーウァの様子を見て、腹を齧るのを中断し、物は試しと頭をがぶりと齧ってみた。
「むぐ……成る程、頭から尻尾まで全部食べれるね!美味しい、もう一匹貰おうかな。」
「私ももう一匹下さい!」
意外と柔らかい骨に、香ばしい身。苦味と塩味が確りと口の中に広がりラートンはそのままがぶりがぶりと頬張った。
ヒレや骨を避けて食べようと思ってた時よりとても食べやすく、あっという間に一匹ペロリと平らげる。
これは美味しいとおかわりすれば、同じくペロリと平らげたイオンウーウァももう一匹と元気良く言う。
その屈託のない笑顔にラートンは二匹の鮎を受け取りながら、じゅわっと胸の内が熱くなるのを感じていた。
(僕がイオンウーウァを愛せば愛すほど、イオンウーウァが可愛くなってく♡♡可愛い僕の奥さん♡)
少しツンとする様な炭と魚の匂いを嗅ぎながら、ラートンとイオンウーウァは同時にそれぞれの鮎の頭に齧りついた。
パリパリ、くしゃり、と焦げた皮や柔らかい骨が音を立てる。
「美味しいわ!」「美味しいね!」
モグモグと頭を食べて、笑顔で言い合い、またがぶりと齧りつく。
「おかわりしたいわ!」「おかわりしようか!」
最後の一口で尻尾までパクリと食べて、その塩っぱさに二人でキューッ!となってから又おかわりしようかと笑い合うイオンウーウァとラートンに、店主が慌てて良い頃合いのモノを最後にもう一炙りする。
大きな鮎ではあるが、そもそも鮎自体が小さいので、むっちりボディと筋肉達磨ボディを毎日維持してる二人の胃袋には無限に入る様だった。
美味しい美味しいと、何度も手が伸びる。
「ハイハイ、シンシューポリス名物鮎の塩焼きィ~~!
今食べないと売り切れちまうよー!そこの見てるだけの旦那方!早く買わねぇと本当に無くなっちまぅ!ハイハイ、寄ってらっしゃい♪食いにらっしゃい♪」
次から次へと貨幣を差し出して鮎を食べていくラートンとイオンウーウァに、幾人もの観光客や丁稚達が見惚れて立ち止まる。
店主が、今日ばかりは早く買わないと本当に売り切れてしまうぞ、と声を張り上げる。
「「もう一匹下さい♪」」
そんな店主の言葉を裏付ける様に、ラートンとイオンウーウァは声を揃えてもう一匹ずつ注文するのだった。
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