33 / 128
33: 似た者親子と名付けに思う事。
しおりを挟む「………ということで、テリーくんの言った通り、名前はブリーダーが愛情を込めて付けてるんだよ♡」
「わぁ、そうなのね!ありがとうラー様♪」
圧倒的熱量を持った愛溢れる語りに真っ白になったイオンウーウァの脳内を察したラートンがそっと結論だけを纏めてくれ、イオンウーウァはちょっとホッとした顔で微笑んだ。
ここここけこけこ♪(ツガイ!ソンナコトヨリノレヨ!ハシローゼ!)
ぎょるるるるぐるるるん♪(オレニノルダロ?オレニノルダロ?)
「あらあらまぁまぁ、うちの子がどうもすみません。」
そんなイオンウーウァの脇に明けの明星丸と韋駄天丸がスリスリと鼻面を擦り付け、テリーくんのおかぁさんがテリーくんをラートンから受け取りつつ韋駄天丸の鱗にさりげなく腕で触れてニコニコする。
そんなおかぁさんの腕の中のテリーくんもそっと垂らした腕で明けの明星丸の艶かでふさふさしてる鬣混じりの首元の羽に触れて嬉しそうにしていた。
(親子ってすごーく似るのね…。と言うことは……私も…?)
じ、と幸せそうな親子を観察し、そんな事を考えるイオンウーウァと、そんなイオンウーウァを見て、
(可愛い僕の番さん♡♡さっきから凄く親子を見詰めてる……♡♡物思いに更ける番さん可愛い♡やっぱり、早く家族が欲しいんだろうか…?あああ、今すぐ結婚して早く暖かい家庭を……♡♡)
等と脳内が10年位未来に吹っ飛ぶラートンだったが、はたらくいきもの大好き親子はそんなこと露とも知らず、嬉しそうに韋駄天丸と明けの明星丸を見詰めているのだった。
「さあ、明けの明星丸!今日は若様&番様が居るからって散歩じゃないよ、ちゃんと仕事しないと次からは若様に散歩に連れてって貰えないぞ!」
きゅるるるるるんぴゅーーい!ぴゅーーい!ぴゅぅぅぅぃ!!(イヤァァァ!ウエーーーン!)
すっかりラートンとイオンウーウァと一緒にお出掛けするつもりだった明けの明星丸が使用人に引き摺られ哀しそうな鳴き声を残して去っていき、それをタイミングに親子もラートン達に礼を言って帰っていった。
「ありがとうございます!今日はグリフィンに触らせて頂けて、本当にありがとうございます。息子も私もとても良い思い出になりました♪」
「ありがとうございました!!これからもボクは明けの明星丸をおうえんしてます!!」
ニコニコと手を振る親子に手を振りながら、イオンウーウァはそっとラートンのはち切れんばかりの筋肉が詰まった胸元に凭れかかる。
「わぁ♡♡僕の奥さんが甘えた♡♡わぁわぁ♪何だか嬉しいな♪僕、溶けちゃうよ♡♡」
その言葉通りに瞳を蕩けさせたラートンだったが、デロデロに溶けた笑顔とは裏腹に、イオンウーウァをお姫様抱っこするとしっかりした足取りで韋駄天丸の背にイオンウーウァを乗せた。
「……名前かぁ……。」
ぽそりと呟いたイオンウーウァの言葉は後ろに跨がったラートンにはしっかり聞こえていたけれど、何だか独り言のようだったので聞き返さず、ラートンはただ、その可愛い灰紫がかった深緑の頭頂にキスを落とすだけに留めた。
"イオンウーウァ?イオンウーウァというの?僕の奥さんは名前まで愛らしいね♡菫と葡萄と云う意味だ。その愛らしい瞳の色から付けられたのかな?"
"名前はブリーダーが愛情を込めて付けてるんだよ♡"
紫紺の瞳を蕩けさせた笑顔で、初めて逢った日のラートンが言った言葉、そして、先程聞いた言葉……。
2つの言葉が、イオンウーウァの頭の中で何度もリフレインしていた。
1
お気に入りに追加
422
あなたにおすすめの小説


異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果
富士とまと
恋愛
公爵令嬢が、異世界から召喚された聖女に婚約者である皇太子を横取りし婚約破棄される。
そのうえ、聖女の世話役として、侍女のように働かされることになる。理不尽な要求にも色々耐えていたのに、ある日「もう飽きたつまんない」と聖女が言いだし、冤罪をかけられ牢屋に入れられ毒殺される。
死んだと思ったら、時をさかのぼっていた。皇太子との関係を改めてやり直す中、聖女と過ごした日々に見聞きした知識を生かすことができることに気が付き……。殿下の呪いを解いたり、水害を防いだりとしながら過ごすあいだに、運命の時を迎え……え?ええ?

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。

【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
政略結婚だと思っていたのに、将軍閣下は歌姫兼業王女を溺愛してきます
蓮恭
恋愛
――エリザベート王女の声は呪いの声。『白の王妃』が亡くなったのも、呪いの声を持つ王女を産んだから。あの嗄れた声を聞いたら最後、死んでしまう。ーー
母親である白の王妃ことコルネリアが亡くなった際、そんな風に言われて口を聞く事を禁じられたアルント王国の王女、エリザベートは口が聞けない人形姫と呼ばれている。
しかしエリザベートの声はただの掠れた声(ハスキーボイス)というだけで、呪いの声などでは無かった。
普段から城の別棟に軟禁状態のエリザベートは、時折城を抜け出して幼馴染であり乳兄妹のワルターが座長を務める旅芸人の一座で歌を歌い、銀髪の歌姫として人気を博していた。
そんな中、隣国の英雄でアルント王国の危機をも救ってくれた将軍アルフレートとエリザベートとの政略結婚の話が持ち上がる。
エリザベートを想う幼馴染乳兄妹のワルターをはじめ、妙に距離が近い謎多き美丈夫ガーラン、そして政略結婚の相手で無骨な武人アルフレート将軍など様々なタイプのイケメンが登場。
意地悪な継母王妃にその娘王女達も大概意地悪ですが、何故かエリザベートに悪意を持つ悪役令嬢軍人(?)のレネ様にも注目です。
◆小説家になろうにも掲載中です

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる