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23: やっと追い付いたグーマ
しおりを挟むどどどどどどどど………!!
「ハァハァ…疲れた…。あ!見ろ!あの煌めき!韋駄天丸だ!皆!城下街に着いたぞ!」
朝から、馬より速いリザードランナーをトばして四時間ちょっと、やっと城下街近くまでやってきたグーマは、キラリと光ったショッキングピンクと蛍光イエローの点に、ほっと息を吐いた。
キューーィ、けっこけこけこ!
そんなヘロヘログーマを気遣い、韋駄天丸の兄、流星梵天丸が励ますように鳴き、スピードを少し緩める。
一方、後ろを走っていたシャイニングナイトスターとシルバースピリッツは、早く休みたい一心でスピードを増し、乗ってる使用人二人が悲鳴を上げつつ先行していった。
こここここ。けこけこけこけこけこ♪キューイ!こここここ。
(オーース!オソカッタナ!アニキ!)
(バーロー、オマエガハヤスギルンダヨ…。)
((オヤツーー!オヤツオヤツーー!!))
城下街東端のリザードランナー用繋留地(バドワイザ商会提供)にリザードランナー達を放し、グーマは低級回復ポーションを呷って深呼吸した。
「さーー!流星梵天丸!シャイニングナイトスター!シルバースピリッツ!お疲れ様!おやつの生卵ああっ!?目がぁ!!目がぁ!!」
背後で商会の世話係がリザードランナー達の世話をしようとしてウッカリ目潰しを喰らってしまっていたが、グーマは気にせず着いてきた使用人達と城下街へと向かうために荷物を持ち直した。
「若様達は城下街の何処へ行くとか言ってたか?……それと、新人の世話係に豹紋リザードランナーの世話する時は光の反射に気を付けろと言っておけ。可哀想に…。」
「これは、グーマ様!お早いお着きで!若様達は二時間ちょっと前にお着きになって、色々回ると仰ってましたが……そろそろお昼時ですし、人気のカフェやレストランの集まる南側ではないですかね。………あ、すみません。彼、さっきも韋駄天丸の鱗で目が眩んでたのに…ハハハ、しっかり対策を教えておきます。」
「そうか。そうだな、ありがとう。なら、まず南側から探してみよう。」
商会の職員に声を掛けたグーマに職員が朗らかに言い、グーマは礼を言って城下街南側へと急いだ。
「若様!いらっしゃった……!置いていかないで下さいよ……。」
職員の案に違わず、人気のカフェで2人の顔よりでかい宇治金時抹茶パフェを食べていたラートンとイオンウーウァに、グーマは駆け寄るなり大きな溜め息を吐いた。
「おや、もっとゆっくり来ても構わなかったのに…。城下街は別に供連れでなくても誰も気にしないだろう?
あ♡嬉しいな♡♡あーーん♡♡♡うーん♪奥さんに食べさせて貰うと百倍美味しいね♡♡ハイ!奥さんも、あーーーん♡♡♡」
只の小伯爵ならそうだろう。だが、バドワイザ家はイタチ系獣人の筆頭家門なのだ。ちょっとした王族より財力も影響力も敵もあるのだから、万が一を考えて欲しい。
そんな事をグーマがお説教するもラートンは右から左に何時ものように聞き流し、イオンウーウァの可愛いお口に抹茶クリームが吸い込まれていく様をとろとろに蕩けながら眺めていた。
グーマが、それを見て溜め息を吐く。
それは彼らには、いつもの光景であった。
「ごめんなさい。次からは気を付けます…。」
故に、ぽそりと反省の言葉を口にするイオンウーウァに、ラートンやグーマだけでなく、背後で同じく聞き流していた使用人二人まで驚き慌てふためいた。
「なんと、番様…そん「気にしないで下さい!番様!我々が追い付くのに苦労するのでちょっとグチグチ年寄りが文句言うただけですから!」ぉま「そーですそーです!要は護衛いない時は注意を怠らんといて下さいねって言や良いものを年寄りがグチグチといやらしい…!これからは俺達ももっと頑張って張り付きますから!番様はお気にせず!いやホント申し訳無い!」酷いな、お前達全部私に悪「……って事だし、気にしないで♡僕の可愛い番さんは天使みたいに心も素直でイイコだね♡♡僕もこれからは、こんな風に可愛い奥さんが心痛めない様に巧くやるよ♡♡」
(いや、巧くやらんで下さい……。その番様への優しさをもうちっとこのグーマ爺ちゃんにも分けて下さい……。トホホ…)
等と、口に出したら、こんな時だけ自分を爺扱いするなと周囲から怒られそうな事を考えながら、グーマもそっとイオンウーウァに謝った。
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