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71: 今日はお仕置きの日、と君が言ったから○月○日は……。
しおりを挟む「……んぅ…?………う"~~~……体がぉ"も"ぃ"~~…。」
「おはよう、ネオン♡」
ふ、と意識が浮上したものの何だか凄く体が重怠くて、思わず呻けば優しいジュリアの声が、柔らかなキスと共に降ってくる。
それが嬉しくて、俺はニンマリ笑って俺の顔の横に手をついて見下ろすジュリアの首に腕を絡めた。
小さく「よっ…と」と呟く声と共に優しく上体を起こされ、炭酸水に軽く潰したミントとライムを加えたノンアルモヒートを差し出される。
……んく、んく、んくっ……っはぁ~~♡
キンキンキリリと冷えた炭酸水とミントの爽涼感、ライムの爽やかな酸味がすぅーっと重い体を軽くするようで。
そんな俺の横顔を見詰めるジュリアの瞳が慈愛に満ちていて。
俺は何て幸せなんだ、と、寝起きの頭で沁沁噛み締めた。
「……さてと。
じゃぁ、今日は1日たーーっぷりお仕置きしてやろうな♡」
そんなだったから、まさかジュリアからそんな事を言われるなんて思ってなくて。
俺はポカンと口を開けて固まった後、自分の耳が信じられなくて聞き返してしまった。
「…………え?……なんて??」
「お・仕・置・き♡ お仕置きだよ、ネオン。」
「お仕置き………。」
と、言われても……何が何だか判らない。ていうか今起きたトコだし。俺ナンもしてなくない??
俺の表情から考えてる事でも察したのか、ジュリアが寝癖で跳ねる髪を一房耳の後ろにかけ、頬を撫でながらゆっくり俺の瞳を覗き込む。
「昨日のコト、覚えてないのか?」
昨日のコト……昨日のコト……?
えーと、多分デビュタントが昨日だよな?
ジュリアの言葉を反芻しつつ、記憶を手繰り寄せる。
馬車で二人でピカピカに装ってお上品にデビュタント会場に向かった筈なんだが、出てくる記憶が何だか……飲んで、騒いで……歌って、踊って……飲んで……ピアノの叩き弾いて……何か令嬢とか騎士に踊れと喚いて……ぁれ?
『うぉーーー!ジュリアー!踊れ踊れー!ひっく♪』
『ハハッ……楽しいデビュタントになった様で良かったよ…。』
『まだまだ夜はこれからだーー!う"っ……!?』
『ああほら、飲み食いし過ぎなのにはしゃぐから…ほら、落ち着いて…今日はもうお休み。ゆっくり寝て……』
『う"ぅ"~~……まだ寝ない…マダ、…マダ……してな……』
う"わ"っ!!何か管巻きながら抱っこでアパートに連れ帰って貰った記憶ある……!それに………。
『今日は大事なお貴族様のデビュタントだからな、酒は無し!
……そんな顔するなよ~。ネオン酔うと繁華街のノリで騒いじまうだろ?ちゃんと御褒美も用意してるから。……仕方無い。何か見た目カクテルっぽいモノを作ってきて貰うから、フードエリアに先に行ってて。』
『いいか?酒を飲んだらお仕置きだからな~♪』
とか言われてたのに、俺、デビュタントで酒飲んじゃってない???
「思い出してきたか?」
次から次へと甦る泥酔大暴れ記憶に冷や汗が噴出する俺を察したのか、ジュリアがクスリと苦笑い混じりに俺の顔を覗き込む。
「ぁゎ、お、俺……ゴメン、ジュリア…飲まないって約束したのに……。」
モゴモゴと謝る俺の頭をジュリアが笑って撫でる。
「まぁ、スッゴく楽しいデビュタントになったみたいだから、もう良いじゃないか。さ、落ち込むのはもうヤメヤメ♪今日は楽しいお仕置きデーだーー!」
「ウヒャッ!?ヒャーーーハハハハ!やめて!あ!ヒャハハハハハ!」
しょんぼりした空気を吹き飛ばすようにジュリアが俺に襲いかかり、全身をこそばされ、俺は暫く笑い地獄を味わった。
お陰で暗い気持ちは吹き飛んだが、呼吸困難で死ぬかと思った……!
ーーーーー
ーーー
ー
「で、これが……お仕置き?」
俺はソファでゆったり寛ぎ、ニマニマしてるジュリアを見返し、震える声で聞いた。滅茶苦茶スースーする。
「むふふ♪いー眺め♡さ、働け働けー♪」
「ぁゎゎ、変態だ。ジュリアは変態だ…。」
ハタキを持っておずおずと本棚に向かえば、追尾する視線をひしひしと感じる。
その羞恥と身を包むジュリアのフェロモンに、うっかり元気になろうとしている俺の俺に、俺は素数の呪文を掛けて黙らせようと奮闘した。
俺は今、全裸にジュリア脱ぎたてホヤホヤのサーモンピンクのシャツを着ただけという無防備極まりない格好で掃除をする罰を受けていた。
「くぅ……。」
本棚の上の方にハタキを掛けようと背伸びすれば、シャツが上がり、尻が少し見えてる気がしてならない。
こそこそとシャツの裾が尻を擽り、俺は一生懸命左手で裾を引っ張って尻を隠しながらハタキを掛けた。
「…………♡」
ちらりとジュリアを見れば、可笑しそうに身悶えするジュリアの剥き出しの上半身とちらりと見えた腰骨に当てられ、俺は慌てて掃除に集中することにした。
(睨んでやりたいが、上半身裸ジュリアは目に毒だ!)
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