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44: ネオン・ブレーカーです。失恋じゃない方のハートブレークしそうです!!

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「ネオン!ごめん、遅くなった!」

ソワソワしながら水面を見詰めていたら、ジュリアの声。

まだ待ち合わせ迄30分あるのに…。
もう来てくれたばかりか、早く来すぎた俺にすまなさそうに駆け寄ってくるジュリアに、何だか申し訳なくて、俺こそ謝らなきゃって思った。

「あれ?ピンク!?」

そんなこと無いよ、まだ待ち合わせまで30分ある。俺が早く来すぎたんだ…って、喉から出かかってた言葉は、ジュリアのその、ちょっと驚いたような一言で全部吹き飛んでしまった。

「……ッ!」

は、恥ずかし~~い~~!

ぶっちゃけ、こんなに恥ずかしくなるなんて思わなかった。
そりゃ、ジュリアのトレードカラーを纏うとか、ジュリア好き♡好き♡って言ってるよーなもんだから、ある程度の恥ずかしさはあったよ?
でも、俺達付き合ってるんだし、カップルや婚約者同士、夫婦なんかが色を合わせるのは珍しくないし、こんな俺でもブレーカー家の一員として、茶会なんかは兄弟全員色を合わせて服を仕立ててたから、こんなのへっちゃらだと思ってた。ちょっと恥ずかしー!照れるなー!位だと。

ピンクに染めてったら、ジュリア驚くかな?喜んでくれるかな?似合うって言ってくれるかな?てへへ、サプライズだ~♪とか思ってた俺が恨めしい!
こんな、ジュリアの一言で心臓が破裂しそうに恥ずかしくなるなんて、とんだ逆サプライズだ!!

「凄く似合ってるよ、そのピンク。可愛い!……デートだから俺に合わせてくれたって、思っても良いのかな?」

うわぁい☆俺が想像した通り、いや、それ以上に喜んでくれてるけど、俺の心臓トドメ刺されそうだよ!!

「…その、いつもジュリアがピンク着てるの見てたら、ピンクって良い色だなって思ってさぁ…。…………その、デートだし、色剥げてきてたし………あ、合わせた…。」

何で俺変な言い訳してんの??
その通りだよ、合わせたんだよって普通に言えば良いのにああああお花ありがとう嬉しいって言わなきゃああああジュリア覗き込まないで!俺の瞳を見ないでぇえええ!!死んじゃうううう!

「嬉しいな♪ネオン!チュッ♡チュッ♡」

なのにジュリアはイタズラな光を宿した瞳で俺を見詰め、髪やら頬にわざと音を立ててキスをしてきた。
確信犯だ!俺の心臓を破裂させる気満々だ!!早く抜け出さないと俺本当に死んでしまう!

取り敢えずストールで防御し、俺は何とか呼吸を整える。ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。

あー……このストール本当に可愛い柄だよね。スカイブルーと黒のゼブラに、所々パッチワークしたみたいに黄色と黒のゼブラが入ってるんだよ♪本当、一目惚れで速攻お買い上げしちゃったよねー。

「もう、ネオン。可愛すぎて理性が持たなくなりそうだよ。いつまでも此処でイチャイチャしてしまう前に早く行こう!」

ぎゃ!折角良い感じで落ち着いてきたのに、追撃するなよ!可愛いって言われた!こっちはもう理性なんかぶっ飛びまくってるよ!と思ってるうちに手を繋がれ、グイグイと引っ張られるままに俺は駆け出した。

(あ、でも、確かに。走ってるせいか気が紛れるな…。)

ふと見上げれば、浅黒いから判り難い筈のジュリアの耳がいつもより赤くなってて…。

俺がドキドキしてるのと同じように、ジュリアもドキドキしてくれてるのかな?なんて考えて、俺はそっと微笑んだ。

公園の手前にあった花売り屋台で買ったであろう、小さな花束は、黄色のフリージアとピンクとスカイブルーのスイートピー、それに一輪、虹色に染まったカーネーションを加えて、紙で巻いてリボンを掛けたシンプルなものだったけど、凄く俺好みで、とても良い香りで。

ニマニマが止まらない口元を隠すように、俺は何度も花束の香りを楽しんだ。

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