勘違い白豚令息、婚約者に振られ出奔。~一人じゃ生きられないから奴隷買ったら溺愛してくる。~

syarin

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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)

23: ヴィラン退場

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「おいおい、しれっと大事件告白すな!」「まさか、昨日の風呂ん時……」「安心しぃや、俺あんな圧の浄化出せるんかー…思う程のゴツい浄化連発したからめっちゃキレイなったわ♪」

俺らもちょっと浄化早打ちの肩慣らししとかなアカンな……。等と呟くコンクィートとタンスィートに、たぁよ!とそれぞれに抱かれた赤子がニコニコと髪を引っ張る。

その手は確実に先程タンスィートに貰った飴玉のせいでべちゃべちゃとしていて、もしこの場に僕が居たら、想像しただけで鳥肌ものだ!と叫びそうだが、幸い、此処には母性に溢れた?顔デロデロのトロトロ独身王族しかいないらしく、そのままされるがままベチャベチャになっていった。

「ウケケケケ♪」

「ぁぁぁ、チビエル……?何か今ベタッとしたけど……。チビエル?……ねぇ、チビエルぅ~……。」

「ウケ♪ウケケケケ♪♪」「うきゃきゃきゃきゃ♪」「ケケケ♪」

「ちょ、ぁぁぁぁ~~~……」

あ、此処にいた。

それ程母性に溢れてないらしいビクトール様にダイエルと呼ばれた赤子が近づいて、べたっと小さな手で髪を叩いた。
疲労でピクリとも動けないらしきビクトール様が嘆きの声を上げれば、それが面白かったのか、他の赤子まで楽しそうに群がって、皆でベタベタドンドンと潰れた格好のまま動けないビクトール様を叩き、よじ登り出す。

大きな遊具と化したビクトール様の上でキャッキャッと笑う彼等の口からは、飴玉をしゃぶっているフルーティーでカラフルな、それでいて透明感溢れるヨダレがタラタラ、時にピッピと飛び交い、ビクトール様に雨霰、いや、飴ヨダレと降り注いだ。
色白赤毛の赤子の口から出た飴をダイエルが回収し食べたので、ついでに涙と鼻水もビクトール様の後頭部に滝の様に注がれていく。

「おーおー、ビクトールも偶にはやるやんけ、天使ちゃん達めっちゃ楽しそう!ほんでダイエル、こぉの食いしん坊♪飴ちゃん二個で嬉しそーやなー。」「いや、あれ、ビクトールが遊んだってるんちゃうくて、ビクトールで遊んどるんやん。あーあールヴィエルよちよちよち~。」「はいはい、も一個あげるから泣かへん泣かへん。勿論、サフィエルにも一個な!ダイエルはもー、ルヴィエルの一個食べとるやろ?…ぁぁ、そんなウルウルしな……ッ!しゃーない、皆二つずつ!二ぁつずつあげるさかい細かい差違は忘れぇ!」

「………ケテ……タスケテ………陛下…浄化……魔力封じ…解除……ケテ……」

糞王子達がニコニコと赤子を甘やかすその下で、色々な液体にまみれた無様なカエル姿でピクピクするビクトール様の懇願の声は誰の耳に届く事なくワチャワチャに掻き消されていく。

そして、そんなビクトール様の可哀想可愛い姿を一目見ることも叶わず、ボロボロになった僕は満身創痍のゴートに背負われ、映し出された魔導鏡の中から退場したのだった。


ーーーーー
ーーー



「くっひょーー!!きやしいきやしいきやしい!!」

「ちょっとまだ呂律回復してないエンゼル超可愛い♡」

「ううひゃい!!ひゃべってなぁでこげ!!」

此処は首都外れの荒川。
ビクトール様奪取に失敗した僕達は一目散に国境を目指していた。

何だかんだで僕達も手馴れたもので、ちゃぁんと逃走経路は確保してあるのだ。

糞みたいに性格が悪い王子とその親父の出身国だけあって治安維持がしっかりしてるヒルトゥームでは、失敗した時の逃走スピードが何よりもモノを言うのだ。
僕達は、その辺を最速で潜り抜け、警備の手薄なポイントから国境突破する為に只今丸太で川下りの真っ最中だ。
僕の魔法の蔦で丸太と僕達をくくりつけ、ゴートが器用に棒で漕いだり、岩を突いたりして進んでいく。
又、僕の魔法の蔦でもあちこち引っ張ってスピードを上げ、丸太は爽快に進んでいた。

「ハッハッハ、まはかこの川をくらるとは、られも思うまい!」

思わず腰に手を当てて笑えば、後ろからゴートが可愛いとか何だとか言ってくるが無視だ無視。

と、細い荒川の切り立った両の岸壁に、ざわり、と一迅の風が吹き、ぞろり、と植物モンスターが勢揃いした。

「ハ………。」

整然と並んで此方を見下ろす植物モンスター。

ビクトール様を見上げたらカカシだった位訳が判らない展開だが、その何処か薔薇を彷彿とさせる形状には凄く凄ぉく嫌な予感しかしない。

「ヒェッ……あの薔薇のモンスター、荒れ地でめっっちゃ襲ってきたヤツラ……。倒すと只の薔薇になるんだよ…。」

後ろで息を呑むゴートのプチ情報に、僕はそっと後退りして、ゴートにそっと寄り添った。
察したゴートが僕をぎゅっと抱き締める。

丹田、心臓、脳、そして、心臓から丹田へ。

循環して増幅して、インキュバスの魔力を自身の魔力と合わせて攻撃魔法用に練りつつ、身体強化。次いでに接地面からゴートにも身体強化と、離れない用に魔法の蔦で命綱を結び付けていく。

インキュバスの魔法は植物モンスターには効かない。ヤるには、只管物理か魔法攻撃しかない。
それが判っているかのように、植物モンスター達が一斉にギラリ、と嗤った。

「チクショーーー!絶対絶対絶対絶対絶対絶対次はビクトール様を頂いて、吠え面かかせてやるからなーーーー!!!!」

「お、エンゼル呂律治ったね♡」

飛びかかる無数の植物モンスターをぶちのめし、咆哮すれば、同じくぶちのめしながらゴートが馬鹿げた感想を述べる。

けれど、次から次へとモンスターは降ってきて。

丸太は操縦処か、叩き割られ、砕け、岩にぶち当たり、それでも僕とゴートは善戦した。
必死に木片と僕達をくくりつけて、岩を蹴ってモンスターを蹴って岩を殴ってモンスターを蹴ってモンスターを殴って間違えてゴートを蹴って、ゴートを殴って……あれ?とか言っているうちに、あっという間に木片は川の藻屑と化し、僕達は急流に呑み込まれたのだった。



   あいるびーばっく!!!!



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