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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)
14: 余所でやって、と天使は呆れる。
しおりを挟む「あ、見えへん?てか、何や再従兄弟ら同士で楽しそうやのぉ。ま、後で誰かから聞いてな♪此処ら辺の領地を与えとるからな。
ほんでや、肝心のコートニー侯爵位は可愛い可愛い天使サミュエルに継いで貰いまーす♪」
えっ??サミュエル・コートニーが侯爵に!?
僕は肩を竦めて何でもない様に言う王様の言葉に驚いた。
凄くふくよかなのを差し引いてものんびりしてポンヤリした印象だった、丸ーいシルエットの彼を思い出す。
動くだけでも大仕事な彼が侯爵としての色々なお仕事を出来るとは思えないんだけど……。
いやでも、僕は彼の事を何にも知らないしな。
美しいビクトール様と、家同士の決定で幼い頃から婚約してて、超超ふくよかで、お菓子が好きで、ビクトール様の事も大好きだと言う事しか知らない。
(どうしてるかな……。助け起こす事も、謝る事も出来ない内にアゼル様に運ばれて行って、そのまま領地に行っちゃったから、本当に何も知らないんだよな。)
「なっ!?サーミはたフガッ」「勿論、運営に色々心配な事もあると思うけど!
ソコは今目下天使サミュエルを口説いてる最中のアゼル・トラフト改め、今回の功績で独立した侯爵の位を授けたアゼル・ライカン君が天使のお婿さんになる予定なんで、ドーンと大船に乗った気持ちでおっといて♪
アゼル君、領地運営に商会運営、社交に諜報に高速運送に護衛に討伐に行軍にと、中々何でもこなす賢い子やねんで~♪」
えっ!??
「「はぁぁっ!?アゼルがサミュエルの婿に!?」」「「アゼルが侯爵!?」」
えっ??と驚く僕の代わりに背後でビクトール様とジューン様がサミュエルの婿という単語に驚き、ウェスティン様とタンスィート様が侯爵になったという単語に驚いて声をあげた。
僕としては、今回の功績、という単語に一番驚いたかな……。
でも、そういえば最近全然アゼル様見なかった……。そっか。王様達とお仕事してたんならそれも納得だ。
(そういえば、良く良く見れば…全裸の騎士の人達と代わって貴族のおじさん達を誘導したり人達の中に、アゼル様と良く一緒に居てた令息達がちらほらいるような…。)
「ん…?この赤い線でなぞっている領地、私とロレンツォとアゼルとサミュエル…だと?」
僕が目だけでキョロキョロと周りを見渡してそんな事を考えている間、侯爵も地図を見て何かを考えていたようだ。
それに王様が嬉しそうに頷く。
「せやねん!コートニーは分解して、フランクとロレンツォとアゼルとサミュエルの四つの家門に分けつつもサミュエルを中心に一層の繁栄をお祈りしとくヤツやねん!どや?フランク、どや??此処までしたら、流石のお前も暇になるやろ??」
「ああ、ぅぅ。」
侯爵凄い生返事。目は地図に釘付けだ。
この王様に対する無礼すぎる態度、さてはお二人、昔からこんな関係だな??
侯爵、王様に何しても許されるって思ってるのが態度からありありと伝わってくるよ。
「………はぁ。長かった。やっとこさお前をコートニーから引き剥がせるわ。お前は今日からフランク・スーロフド・ヒルトゥームや。」
「ここは…私の領地に密林が入ってるじゃないか。フムフム、砂漠が、おお、あの貴重な群島地域はサーミの領地に……!?」
王様は嬉しそうに喋って、侯爵は嬉しそうというか、夢中で地図を睨んでる…。凄く平行線だ。
侯爵は平気かもしれないけど、王様に貴族がそんな態度取るなんて、見てる此方は凄くヒヤヒヤハラハラする。
「あ、因みに、スルトゥムってのがハレムナィトの王だけが名乗れる名字で、スーロフドってのが王子や伴侶なんかの名乗る名字らしいで。何やけったぃなやなー。」
「フムフム…これは楽しくなってきた…む!触るな変態王子め!いやもう王…処か帝だったな。……他国の文化というのは、そういうものだ。はしゃぎ過ぎだぞ、変態パール。」
夢中で地図を見る侯爵の頬を王様が指で撫でればペチリと払われる。
だが、王様が払われた手を然り気無く侯爵の肩に置くけどそれには何の反応もなかったし、未だに侯爵は王様の膝の上だ。
その然り気無い受け入れ方に、王様が嬉しそうに顔を緩ませている。デレデレだ。良かったですね、王様。然り気無く愛称呼びもされて。
「しゃーないやん。やっと好きな人と一緒になれてんから♡30年やぞ?30年。」
侯爵の肩に額をグリグリ押し付けて甘い声で囁く王様凄く幸せそう!はぁ~!思い続けて30年!へぇ~~!っと思わず感心してしまうが、そーゆーのはお二人だけでしていただきたいかな~。
死なないと判った僕はじっとアモネイに寄り添いながら、とてもだらけた気分で嬉しそうな王様のやり取りを聞き流した。
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