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1: 我輩はタルトタタン!

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我輩は猫である。名前はタルトタタン、探偵だ! 

君は猫の魔力を信じるかい?
この話は、猫の魔力を信じない者には少し、受け入れにくいかもしれない。
だが、古来より猫は人を、世界を、そして宇宙を支配してきたのだー!

因みに、これはミステリではにゃい!何故ならば、猫の前に謎など存在しないのだー!

うむむ、ちょっと噛んじゃったな。

(ねぇ、さっきから何1人でぶつくさ言ってるの?)

(おっと、コードネーム:TIGER、今日も皮肉屋だね。)

俺は髭をピクピクさせて、三軒先の家のベランダで日向ぼっこしてる錆柄の雌猫に返した。

(タイガーじゃないわ、とら子かハナちゃんよ。)

(まぁまぁ、ほら、タルトタタンはまだ1ちゃいの仔猫だからさ……。)

(ふん、青二才キトンズブルーめ……)

(妙なフォローを入れるな!俺は十分おとにゃですー!
目が青いのは高貴な猫の証拠ですぅー!)

俺は変なフォローを入れた隣の完全室内ガイ茶トラのマイコーと、俺を青二才キトンズブルーだなんて、侮辱した外猫TIGERにプンプンと尻尾を振って抗議した。

そう、そうなんだよ!
俺達猫って種族は君達ニンゲンにはとーーてい到達出来ない極致に達した高貴でノーーブルな種族であるからしてぇ?
ちょっと離れた所に居る仲間達とcommunicateこみゅにけーとが出来ちゃうのだ!
communicateこみゅにけーとが!

ふふん。恐れ入ったかね?

あ?判りにくい?

んーー……リモートかビデオ通話みたいな感じだと思ってくれれば近いぞ。あ、判った??俺の説明判りやすかったって??
むふふ、よし、殊勝な君には尻尾の付け根をトントンする栄誉を与えても良いぞ♡但し、優しくだ。
それと、肉球は絶対ダメ!!

ふふふ、うーーん、良い天気だ。風の匂いが旨い。

(完全室内ガイさん達はお外に出られなくてカワイソー。
外は風だけじゃなくて、お日様も、湿った土の触感も、最高よ♪今日は日向ぼっこに最高のお天気。
あ、勿論、ガラス越しなんかじゃない、本当の日向ぼっこよ?)

((黙れよTIGER…!))

皮肉が冴え渡るTIGERに、俺とマイコーは怒りの声をあげた。
全く、今日は死ぬのにもってこいの日、みたいな言い方しやがって!

(とら子かハナちゃんだってば!!カウチキャットどもめ!)

TIGERはブンブンと尻尾を振って怒りを示し、おやつを探しに出掛けてしまった。


ふん、こーの怒りんぼの雌猫め!!誰がカウチキャットだー!



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