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10: 熾烈な舌戦、果ての敗戦。我、堕ちた勇者に堕とされし魔Oh...Love you !
しおりを挟むその真っ直ぐで、途轍もない熱量を孕んだ感情に、勇者の無様な姿が、浅ましく乱れる醜態が、何故か愛おしく感じ、魔王は困惑した。
魔王が言の葉に魔力を乗せて闇を注げば注ぐほど、勇者から返ってくる言葉が魔王の魂の防壁をすり抜け刺さる。
魔王に更なる嗜虐と愛しさを齎す。
絶対堕ちたくない魔王VS絶対堕ちたい勇者!
さて、どちらが堕ちるのが早いか……ファイ!!
等と四天王のインキュバス王辺りが見ていたら面白がって野次を入れただろう。
いつの間にか熾烈な舌戦となった状況に、誰も居なくて良かったと魔王はこっそり安堵した。
「くぁぁ、あっヨルノダール様♡ヨルノダール様ァ♡好…んむっ……」
魔力に乗せて尚も想いをぶつけてくる勇者に、魔王は噛み付く様に口づけする。
「貴様……もう、黙れ……。」
苛立ちを隠さず言う魔王の言葉にはもう、今まで程の冷たさは無かった。
「……んんむ……はっ……はぁ……好き♡……」
舌を絡ませ、勇者の舌をきつく吸い上げれば、触れる唇、舌先から魔王の闇がパチパチと小さく弾けて浄化されていく。
ゴクリと嚥下した唾液が、喉をパチパチと浄化しながら胃に落ちていく。
確実に闇を浄化されているにも関わらず、その仔猫の毛繕いにも似た擽ったい刺激に魔王は思わず笑む。
お返しとばかりにゾロリと人ならざる長さの厚い舌で勇者の口内をなぞれば、そこから勇者のナカにじわじわと闇が浸入し、少しずつ浄化されつつも勇者を闇色に染め上げていく。その浸蝕されていく感覚に勇者がぶるりと身体を震わせて、熱い吐息を零す。
互いに喰い合い、求め合う。その快楽に、魔王自身に熱が集まる。
魔王は、己のナカに急速に芽生えていく感情を自覚し、自嘲した。
(悔しいが、どうやら我の敗北のようだ……。)
「……ん……はぁ、はっ……ヨルノダール様……」
パチパチと闇を弾けさせながら、魔王の手が勇者の小麦の肌を滑り、そのゾクゾクした感覚に身を捩らせながら勇者が魔王の名を呟く。
「もう、黙れ…リンデール……。」
勇者を呼ぶ自分の声が存外に甘く、本当に自分の声かと驚きつつ、魔王は優しく勇者の唇を奪った。
優しい口づけに、勇者の若葉と菫の瞳が嬉しそうに潤む。
その蕩ける様な眼差しを美しいと感じつつ、魔王はそっと囁いた。
「我の敗北だ……共に堕ちようではないか。可愛いリンデールよ……。」
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