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初めて幽霊を見たあの日
しおりを挟む帰りのホームルームが終わって先生が教室を出て行った直後。
委員長の由依が突然教卓の前に立ち、声を張り上げました。
「今朝までに幽霊を見たことがある人っていますか? いたら手を挙げてみて下さい」
唐突な質問。
ガヤガヤしていた教室は一気にしんと静まり返ります。
「手を挙げてみて下さい」
催促され、三人がおずおずと挙手しました。
由依はヘェって感じに小さく頷きます。
「では、現在までに幽霊を見たことがある人は? 手を挙げて下さい」
由依は悪戯っぽい笑みを浮かべて言いました。
まったく人を翻弄するのが大好きな彼女らしいやり口。
先の三人に加えて教室のあちらこちらでゆっくりと手が挙がり始め、最終的にクラス全員の手が真っすぐ上に伸びました。
由依は満足そうに大きく頷きます。
クラスメートの中には挙げた手がガタガタ震えている子もいます。
顔を引き攣らせ、泣き出している子もいます。
それに気が付くとドヤ顔だった由依は眉尻を落とし、「ごめんごめん」と呟きました。
そして自分の机に視線を移し、黙り込む。
やがて「ありがとね」と寂しそうにポツリ。
そのまま教室から出て行ってしまいました。
誰も後を追うことはしません。
由依の机の上には白い菊の花が置いてあります。
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見事なオチですね! 短いのに、お話がよくまとまっています。ラストは恐怖よりも、哀愁を感じる……。
わ! こちらにもありがとうございます m(_ _)m
ラストに哀愁を感じてもらえたならもう大成功です!
深い心情など、読者様の想像力に委ねてありますので…。
あと実はオチはすぐに読まれてしまう気がしてたので、そんなこともなかったなら良かったぁ。