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カゲワズライ
しおりを挟む小便がしたい。我慢できない。
布団から飛び出してトイレに駆け込み、盛大に放尿する。
しかし、尿意が治まらない。
どうしたことか。
焦燥に駆られながら、だばだばだばと尿を出し続ける。
出しに出し、出し終わったと思い水を流す。
が、まだ激しい尿意が残っている。
何故だ。
再び尿の排出。
一向に尿意切迫感から逃れられない。
目が覚めた。
夢か。
しかし、尿意は現実だ。
だからあんな夢を見たと分かる。
起き上がろうとして、聞こえてくる猫の鳴き声に気が付いた。
独り者の俺の伴侶は飼い猫マロン。
そういえば布団の上に寝ていたはずのマロンがいない。
寝室から出ると、トイレの前にいるマロンの姿が見えた。
立ち上がって体を伸ばし、鳴きながら両手でドアをカリカリやっている。
あれは中に入れて入れての仕草ではないか?
何故入りたい?
俺は近づき声を掛けた。
マロンは振り向き、そして目を丸くした。
いかにも驚愕の表情。
頭を戻してトイレのドアを見上げ、また振り返り俺を見る。
そしてまたドアを見て、俺を見る。
口元を三角にして、ニャアとも言わない。
トイレの中から聞こえてくるのは直前に流したような水の音。
おい、まさかその中にも俺がいたのか?
そうか。
そうなんだな。
何かすまんな。
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