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師匠が固まって、時間を無駄にしたくない私は現実逃避的な意味も兼ね、魔法具の実験を続けていた。
「……王太子妃殿下」
「やめてください!」
どれくらいの時間が経ったのだろう。いきなり師匠がそんな事を口にした為、速攻止めた。
「時間の問題なのに……」
「でも、まだ王太子妃ではありません!」
師匠にそう呼ばれるなんて、むずがゆい事この上ない。というか、全てにおいて展開が早すぎるのだ。まだしばらく心の準備というものが欲しい。
「……殿下が嫉妬するだろうなと思いながらも、入り浸るのを許しているんだよ? まぁ、イルから魔法を取り上げるなんて事、殿下がするわけないと思うけれど」
「魔法だけは駄目です! 私の生きる源です!」
少し考えて師匠が放った言葉に、私は叫んだ。私から魔法だけは奪わないで欲しい!
嫉妬してそう……だけれど、それでも師匠の元へ通わせてくれるならば、もうそれで良いとさえ思え……いやいや。落ち着け私。
もう婚姻しているような状態だとでも言いたいのだろう。私が猫の姿であったとしても。
……むしろ同衾して、一緒にお風呂まで入った貴族令嬢なんて、他に嫁ぐ事は出来ないだろう。一線を越えていなくても。それが例え猫の姿であっても!
なかった事を証明するのは、なかなかに難しい。
「……あれ? 王太子殿下は、どれだけ嫉妬しようとも、私から魔法は奪わないのですか?」
「絶対と言って良い程、取り上げる事はないね。むしろもっと自由に研究できる状況を整えると言っても過言ではないよ」
ハッキリと断言する師匠に、思わず首を傾げた。
確かに王太子殿下が私の行動に制限をかけるなんて想像もつかないし、私のやる事には協力的になるだろうと想像つくところも、どうかと思うけれど。むしろそこまでされる理由も好かれている事も分からないのだけれど。
それでも、そこまで言い切る程の何があるのかと。
ジッと師匠を見れば、師匠は少し息を吐いて、ゆっくりと口を開いた。
「イルの魔法具を買い占めてる人が居たんだよ。完全なるイルのファンだね」
「私のファン?」
そんな事は初めて聞いた。
私の魔法具は性能や耐久性を考えても、他より良く出来ている為、売上が良いとは聞いていたけれど……ファンとは?買占めとは?
頭の中が疑問符で埋め尽くされ、更なる答えを師匠に求めようとした所、盛大なノックの音が響いた。
「イル! 早く仕事を終わらせて迎えに来たよ!」
ノックをするようになっただけ良いと言えよう。
そして、私が脱走してから、凄まじいスピードで終えたのだろう。一瞬、時計に視線をやってから、私は小さくため息を吐いた。
「……王太子妃殿下」
「やめてください!」
どれくらいの時間が経ったのだろう。いきなり師匠がそんな事を口にした為、速攻止めた。
「時間の問題なのに……」
「でも、まだ王太子妃ではありません!」
師匠にそう呼ばれるなんて、むずがゆい事この上ない。というか、全てにおいて展開が早すぎるのだ。まだしばらく心の準備というものが欲しい。
「……殿下が嫉妬するだろうなと思いながらも、入り浸るのを許しているんだよ? まぁ、イルから魔法を取り上げるなんて事、殿下がするわけないと思うけれど」
「魔法だけは駄目です! 私の生きる源です!」
少し考えて師匠が放った言葉に、私は叫んだ。私から魔法だけは奪わないで欲しい!
嫉妬してそう……だけれど、それでも師匠の元へ通わせてくれるならば、もうそれで良いとさえ思え……いやいや。落ち着け私。
もう婚姻しているような状態だとでも言いたいのだろう。私が猫の姿であったとしても。
……むしろ同衾して、一緒にお風呂まで入った貴族令嬢なんて、他に嫁ぐ事は出来ないだろう。一線を越えていなくても。それが例え猫の姿であっても!
なかった事を証明するのは、なかなかに難しい。
「……あれ? 王太子殿下は、どれだけ嫉妬しようとも、私から魔法は奪わないのですか?」
「絶対と言って良い程、取り上げる事はないね。むしろもっと自由に研究できる状況を整えると言っても過言ではないよ」
ハッキリと断言する師匠に、思わず首を傾げた。
確かに王太子殿下が私の行動に制限をかけるなんて想像もつかないし、私のやる事には協力的になるだろうと想像つくところも、どうかと思うけれど。むしろそこまでされる理由も好かれている事も分からないのだけれど。
それでも、そこまで言い切る程の何があるのかと。
ジッと師匠を見れば、師匠は少し息を吐いて、ゆっくりと口を開いた。
「イルの魔法具を買い占めてる人が居たんだよ。完全なるイルのファンだね」
「私のファン?」
そんな事は初めて聞いた。
私の魔法具は性能や耐久性を考えても、他より良く出来ている為、売上が良いとは聞いていたけれど……ファンとは?買占めとは?
頭の中が疑問符で埋め尽くされ、更なる答えを師匠に求めようとした所、盛大なノックの音が響いた。
「イル! 早く仕事を終わらせて迎えに来たよ!」
ノックをするようになっただけ良いと言えよう。
そして、私が脱走してから、凄まじいスピードで終えたのだろう。一瞬、時計に視線をやってから、私は小さくため息を吐いた。
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