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……一見、毒のように見える。けれど、これは毒ではない。
師匠も魔法具を素早く確認したのか、私の方へ視線を向けたので、頷いて答えた。師匠は驚きに目を見開いた後、口元に手を持っていったが、そこへ回復魔法をかけていた者が声を荒げた。
「これは……!」
どれだけ回復魔法をかけても、全く回復する見込みがない王太子殿下に、顔を真っ青にしながら賢者の方を向いて、真剣な表情で訴えた。
「これは……毒ではありません!呪いです!」
「呪い!?」
周囲が騒めく。私も、思わず目を見開いた。
――呪い。
それは魔法とは少し異なるもの。
魔法や薬草でどうにかなるものでもなく、解呪という方法でしか解けないもの。そして……現在では流用されていないものだ。
勿論、私だって興味本位で少し覗いただけの程度で、理解しているかと言われれば、そうではない。。
「ティルトン伯爵当主はどこだ!」
ドキリと、心臓が跳ねる。
魔法を得意とする一族なので、名前を出されたのだろう。それを理解していても、ドキドキと心臓は未だに激しく脈打っている。
「まだ帰ってくるまでに時間がかかります!」
「その間にも、刻一刻と呪いが刻み込まれていきます!」
焦ったかのように、次々と人が叫び出し、回復魔法をかけている人も混乱した状態だ。……回復魔法が効かないのならば、そうだろう。目の前で悪化していく王太子殿下。
「魔法の力が強いと言っても……解呪は別です」
師匠が神妙な面持ちで言った為、周囲は俯いた。……理解はしている、しているけれど、藁にもすがりたいのだろう。ティルトン伯爵ならば、もしやという、希望。
それを打ち砕かれるかのような現実を突きつけられ、歯を食いしばるだけだ。
呪いは、それこそ人の負の部分となる。浄化のように特化したものでないと解呪は出来ないと言われているのだ。
――浄化。それは、回復魔法とは異なるもの。
誰しもが言葉を発する事が出来ず、中には絶望を滲ませた人達をくぐり抜け、護衛達は王太子殿下を自室へ運んで行く為に動く。そこに、私は付いて行った。側近や従者も続く中で、勿論、師匠もだ。
皆、俯き涙する中で、私だけはしっかりと頭を上げて前を見る。その様子に、師匠は口角を少しあげた。
「人払いを」
「何を!?」
「言いから、人払いを。試してみたい事がある」
王太子殿下の部屋へと着くなり、師匠は皆を下がらせた。皆が納得のいっていない顔をしていたけれど、そこは流石賢者の一声だろう。
賢者ならば、あるいは。という、希望を託したのだろう。
師匠も魔法具を素早く確認したのか、私の方へ視線を向けたので、頷いて答えた。師匠は驚きに目を見開いた後、口元に手を持っていったが、そこへ回復魔法をかけていた者が声を荒げた。
「これは……!」
どれだけ回復魔法をかけても、全く回復する見込みがない王太子殿下に、顔を真っ青にしながら賢者の方を向いて、真剣な表情で訴えた。
「これは……毒ではありません!呪いです!」
「呪い!?」
周囲が騒めく。私も、思わず目を見開いた。
――呪い。
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魔法や薬草でどうにかなるものでもなく、解呪という方法でしか解けないもの。そして……現在では流用されていないものだ。
勿論、私だって興味本位で少し覗いただけの程度で、理解しているかと言われれば、そうではない。。
「ティルトン伯爵当主はどこだ!」
ドキリと、心臓が跳ねる。
魔法を得意とする一族なので、名前を出されたのだろう。それを理解していても、ドキドキと心臓は未だに激しく脈打っている。
「まだ帰ってくるまでに時間がかかります!」
「その間にも、刻一刻と呪いが刻み込まれていきます!」
焦ったかのように、次々と人が叫び出し、回復魔法をかけている人も混乱した状態だ。……回復魔法が効かないのならば、そうだろう。目の前で悪化していく王太子殿下。
「魔法の力が強いと言っても……解呪は別です」
師匠が神妙な面持ちで言った為、周囲は俯いた。……理解はしている、しているけれど、藁にもすがりたいのだろう。ティルトン伯爵ならば、もしやという、希望。
それを打ち砕かれるかのような現実を突きつけられ、歯を食いしばるだけだ。
呪いは、それこそ人の負の部分となる。浄化のように特化したものでないと解呪は出来ないと言われているのだ。
――浄化。それは、回復魔法とは異なるもの。
誰しもが言葉を発する事が出来ず、中には絶望を滲ませた人達をくぐり抜け、護衛達は王太子殿下を自室へ運んで行く為に動く。そこに、私は付いて行った。側近や従者も続く中で、勿論、師匠もだ。
皆、俯き涙する中で、私だけはしっかりと頭を上げて前を見る。その様子に、師匠は口角を少しあげた。
「人払いを」
「何を!?」
「言いから、人払いを。試してみたい事がある」
王太子殿下の部屋へと着くなり、師匠は皆を下がらせた。皆が納得のいっていない顔をしていたけれど、そこは流石賢者の一声だろう。
賢者ならば、あるいは。という、希望を託したのだろう。
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