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私の緊張など、気が付くわけもない王太子殿下は、私を持ち上げると……。
「イルと言うのか~! 可愛いなぁ~!」
「!!??」
ぎゅううううっと抱きしめ、甘い声を出した。
思わず固まっていれば、スリスリと頬ずりをして、「可愛い」「癒しだ」「天使だ」と連呼する。
うん、これは誰だろう。厳しくも優しく、気品溢れる王太子殿下だとは聞いた事があるけれど、今は真逆というか、ただの猫馬鹿じゃないだろうか。
「ブラッシングはして良いんだよな!?」
ハッ!と何かに気が付いたように叫べば、すぐに誰かを呼び、猫用のブラシや爪とぎ、クッション等を買ってくるよう命じていた。
……そこに遊び道具がないのは助かったと思うべきか。否、もう何が良くて何が悪いのか判断がつかない。
分かったのは、この王太子殿下は、とても猫が好きだと言う事くらいか。だから護衛と言いながらも猫を押し付けられるのを拒否する事もなく受け入れたんだな、と妙に納得できた。
――私は、猫。
自分に対して戒めるよう、その言葉を呟きながら、膝の上に乗せられて撫でられている現状を甘んじて受け入れる。むしろ師匠のように、所かまわず撫でくりまわされないだけマシとも言えるだろう。
「ん?何か……少し汚れていないか?」
(!!)
思わず耳を立ててしまう。
やっぱり!と思わざる負えないが、ここから逃げ出しても、豪華な部屋を汚してしまうだろうと思えば動けないわけで……。
「よし! すぐにブラシも届くだろうし、風呂に入るか!」
「にゃぁあああ!!」
嫌だ!という意味を込めて、叫ぶも、王太子殿下に通じるわけもなく、風呂場へと続く扉に向かわれる。ジタバタと手足を動かして抵抗するも、やはり猫。人間で、しかも鍛えている男の力に適うわけもなく。かと言って、身体をよじらせて逃げれば部屋を汚すわけで……。せいぜい爪を立てない猫パンチで抗議の意思を示すのだけれど、王太子殿下はそれすらも笑顔で見惚れている。
「嫌か~そうか。大丈夫だぞ、俺が丁寧に洗うからな~」
(それが嫌なんです!)
姿形は猫と言えど、私は伯爵令嬢!乙女!人間のメス……じゃない、女なんです!
いくら毛皮という名の服を着て居ようと、どうして洗われないといけないのか!いや、洗われるって事は色々触られるわけで!?
「にゃぁあああ!!!!」
そこまで気が付いて盛大に叫び、部屋が汚れる事なんてお構いなしに、身をよじって逃げようとするも、王太子殿下の腕から逃げ出す事は叶わず。
「あ~可愛いなぁ~」
しっかり抱きしめられ、というか身体に顔を埋められ、羞恥心で固まった私は、そのままお風呂場に連れ込まれた。
「イルと言うのか~! 可愛いなぁ~!」
「!!??」
ぎゅううううっと抱きしめ、甘い声を出した。
思わず固まっていれば、スリスリと頬ずりをして、「可愛い」「癒しだ」「天使だ」と連呼する。
うん、これは誰だろう。厳しくも優しく、気品溢れる王太子殿下だとは聞いた事があるけれど、今は真逆というか、ただの猫馬鹿じゃないだろうか。
「ブラッシングはして良いんだよな!?」
ハッ!と何かに気が付いたように叫べば、すぐに誰かを呼び、猫用のブラシや爪とぎ、クッション等を買ってくるよう命じていた。
……そこに遊び道具がないのは助かったと思うべきか。否、もう何が良くて何が悪いのか判断がつかない。
分かったのは、この王太子殿下は、とても猫が好きだと言う事くらいか。だから護衛と言いながらも猫を押し付けられるのを拒否する事もなく受け入れたんだな、と妙に納得できた。
――私は、猫。
自分に対して戒めるよう、その言葉を呟きながら、膝の上に乗せられて撫でられている現状を甘んじて受け入れる。むしろ師匠のように、所かまわず撫でくりまわされないだけマシとも言えるだろう。
「ん?何か……少し汚れていないか?」
(!!)
思わず耳を立ててしまう。
やっぱり!と思わざる負えないが、ここから逃げ出しても、豪華な部屋を汚してしまうだろうと思えば動けないわけで……。
「よし! すぐにブラシも届くだろうし、風呂に入るか!」
「にゃぁあああ!!」
嫌だ!という意味を込めて、叫ぶも、王太子殿下に通じるわけもなく、風呂場へと続く扉に向かわれる。ジタバタと手足を動かして抵抗するも、やはり猫。人間で、しかも鍛えている男の力に適うわけもなく。かと言って、身体をよじらせて逃げれば部屋を汚すわけで……。せいぜい爪を立てない猫パンチで抗議の意思を示すのだけれど、王太子殿下はそれすらも笑顔で見惚れている。
「嫌か~そうか。大丈夫だぞ、俺が丁寧に洗うからな~」
(それが嫌なんです!)
姿形は猫と言えど、私は伯爵令嬢!乙女!人間のメス……じゃない、女なんです!
いくら毛皮という名の服を着て居ようと、どうして洗われないといけないのか!いや、洗われるって事は色々触られるわけで!?
「にゃぁあああ!!!!」
そこまで気が付いて盛大に叫び、部屋が汚れる事なんてお構いなしに、身をよじって逃げようとするも、王太子殿下の腕から逃げ出す事は叶わず。
「あ~可愛いなぁ~」
しっかり抱きしめられ、というか身体に顔を埋められ、羞恥心で固まった私は、そのままお風呂場に連れ込まれた。
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