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「師匠!?」
猫の姿とか関係なく、私はその人物に驚き、声をあげた。
翡翠色の髪に紫の瞳。身長は190と高めで、それなりに筋肉もついている。整った顔立ちをしているけれど、目つきは少しだけ厳しい彼は、この国で賢者と呼ばれる存在だ。
「行きますよ」
師匠は私を抱き上げ、ローブの中に隠すよう包み込む。いや、仮にも私、女ですけれど!?猫の姿でも令嬢ですが!?と抗議の声を上げようとしたが、心地いい温かさに瞼が沈み始めた。
そういえば……人の温もりに触れるのは、どれくらいぶりだろう。
はるか昔、もう思い出せない位、前だった気がする。
「ゆっくり休んでいて良いですよ」
どこに行くのか、とか。何故師匠が此処に居るのだとか、聞きたい事は沢山あったのだけれど、私は撫でられる心地よさに、意識を眠らせてしまっていた。
師匠との出会いは、冒険者ギルドの依頼で魔物を討伐していた時だ。ウルフの群れに襲われていた時、手助けしてくれたのが師匠だった。
「魔法の使い方がお上手ですね」と、それだけ言って別れた師匠と次に会ったのは、魔法具の店。その日に食べる物を得る為に売っている時、師匠がその店にやってきて、私の魔法具作りの才に驚き目を見開いていた。
魔法も上手に使い、魔法具の性能も良いと、私の才能を見出して「私の弟子になりませんか?」と笑いながら言ってくれた師匠に即答した。……その後で賢者だと知ったのだけれど。
そこからは一緒に討伐へ行って、魔法の訓練を行ったり、採取をしたり、たまに魔法具の事でも相談しあったりもする仲だ。
ふと、ふわふわした物に身体を包まれる感覚に、違和感を覚えて目を覚ます。
「あ、起きましたか? イル」
イルとは、私が使っている愛称というか、別名だ。ギルドの登録名もイルにしてある。
「あれ? 師匠? なんで?」
「猫が人の言葉を話しているなんて、不思議な感じですねぇ」
師匠がそう言いながら、まじまじと私を見て、私は今現在、自分が猫の姿で居るという事を思い出した。
「えっ!? あ、何で私だと分かったんですか!?」
「魔力のオーラは人によって違いますしねぇ」
人を顔ではなく、オーラで判断しているのか、師匠は。初めて知った……というか、そんなものがあるのか。
驚き、立ち上がろうとした私は、柔らかい足元に足をとられ、上手く立てずにポスンと再度座り込む。ふみふみと前足で感触を確かめ、目で見れば、籠の中に柔らかいクッションがひかれていて、そこに私は入れられているようだ。
え、何これ。こんな高そうな物に触れるなんて、人間でいた時すらもなかったのに……今は汚れた猫の姿。人の姿だったならば、顔色は真っ青になっていただろう。
猫の姿とか関係なく、私はその人物に驚き、声をあげた。
翡翠色の髪に紫の瞳。身長は190と高めで、それなりに筋肉もついている。整った顔立ちをしているけれど、目つきは少しだけ厳しい彼は、この国で賢者と呼ばれる存在だ。
「行きますよ」
師匠は私を抱き上げ、ローブの中に隠すよう包み込む。いや、仮にも私、女ですけれど!?猫の姿でも令嬢ですが!?と抗議の声を上げようとしたが、心地いい温かさに瞼が沈み始めた。
そういえば……人の温もりに触れるのは、どれくらいぶりだろう。
はるか昔、もう思い出せない位、前だった気がする。
「ゆっくり休んでいて良いですよ」
どこに行くのか、とか。何故師匠が此処に居るのだとか、聞きたい事は沢山あったのだけれど、私は撫でられる心地よさに、意識を眠らせてしまっていた。
師匠との出会いは、冒険者ギルドの依頼で魔物を討伐していた時だ。ウルフの群れに襲われていた時、手助けしてくれたのが師匠だった。
「魔法の使い方がお上手ですね」と、それだけ言って別れた師匠と次に会ったのは、魔法具の店。その日に食べる物を得る為に売っている時、師匠がその店にやってきて、私の魔法具作りの才に驚き目を見開いていた。
魔法も上手に使い、魔法具の性能も良いと、私の才能を見出して「私の弟子になりませんか?」と笑いながら言ってくれた師匠に即答した。……その後で賢者だと知ったのだけれど。
そこからは一緒に討伐へ行って、魔法の訓練を行ったり、採取をしたり、たまに魔法具の事でも相談しあったりもする仲だ。
ふと、ふわふわした物に身体を包まれる感覚に、違和感を覚えて目を覚ます。
「あ、起きましたか? イル」
イルとは、私が使っている愛称というか、別名だ。ギルドの登録名もイルにしてある。
「あれ? 師匠? なんで?」
「猫が人の言葉を話しているなんて、不思議な感じですねぇ」
師匠がそう言いながら、まじまじと私を見て、私は今現在、自分が猫の姿で居るという事を思い出した。
「えっ!? あ、何で私だと分かったんですか!?」
「魔力のオーラは人によって違いますしねぇ」
人を顔ではなく、オーラで判断しているのか、師匠は。初めて知った……というか、そんなものがあるのか。
驚き、立ち上がろうとした私は、柔らかい足元に足をとられ、上手く立てずにポスンと再度座り込む。ふみふみと前足で感触を確かめ、目で見れば、籠の中に柔らかいクッションがひかれていて、そこに私は入れられているようだ。
え、何これ。こんな高そうな物に触れるなんて、人間でいた時すらもなかったのに……今は汚れた猫の姿。人の姿だったならば、顔色は真っ青になっていただろう。
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